瀬戸内
□サンタさんが来た
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「元就ー、クリスマスプレゼント何か欲しいもんあるか?」
十二月になってすぐ、元親が尋ねてきた。
我は仕事の残りをやっていた為、煩いので黙っていて欲しかった。
「別に何も要らぬ」
「んなことねぇだろ。何でも言えよ」
「日輪」
「無理」
「なら何もいらぬわ」
「…じゃあネグリジェでもぶっ」
「死ね」
元親の顔面にパンチをおみまいしてからふと思った。
そういえば元親にクリスマスプレゼントをあげたことがない。
誕生日もクリスマスも貰うばっかりで、自分はいつも大したものをあげていない。
今年は何かちゃんとしたものをあげることにした。
その日はやってきた。
いつもより少し早めに起きたら枕元に元親からのクリスマスプレゼントが置いてあった。
包みを開けると、淡いピンク色で艶のあるシルク生地のネグリジェが出てきた。
広げてみると丈は短い。
誰がこんなもの着るか!とそれをごみ箱に投げ入れて玄関へ向かった。
隠しておいた元親へのプレゼントを持って寝室へ戻ると、それを元親の枕元に置いた。
その後、リビングで天気予報を見ていた。
お天気お姉さんが「今日は全国的に晴れるでしょう。残念ながらホワイトクリスマスにはなりません」なんて言っていたが、我としては日輪が拝めるのでむしろ嬉しかった。
雪など降っても寒いだけだ。
「元就ィィィィ!!!!」
天気予報が終わって、ニュースを見ていると元親が駆けて来た。
朝っぱらから煩い奴だ。
我が枕元に置いておいた箱を抱えている。
「元就!これ、もしかして」
「早く開けろ」
勿体振るので急かした。
というか、プレゼント用に包んでいないので、箱に思いっきり中身のものが何なのか書いてある。
「……うそ…これ、夢とかじゃねぇよな?」
出てきたのは炊飯器。
そんなに驚くものでもない。
家事全般をこなす元親が先日欲しいと言っていたので、丁度良い贈り物だと思ってちょっとお金を奮発した。
「すげぇ嬉しい、元就、ありがとよ!」
「わ、わかったからくっつくでない!」
ふっくらしたお米
「やっぱいい炊飯器は違ぇな!」
(何故クリスマスに白米を大量に食さねばならぬのだ…)
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