瀬戸内
□君の面影
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いつだったか…
我が幼き頃、同い年くらいの子に出会った。
すごく可愛いらしい子だと思ったのを覚えている。
それから少し話しをしたのだが、時々ふわりと笑うその笑顔は我の心臓を高鳴らせた。
今でもその顔は忘れられない。
だが、それからその子と会うことはなかった。
名前くらい聞いておけばよかったと今でも後悔している。
「元就ー、大丈夫かァ?」
気づけば元親が目の前にいた。
随分考え込んでしまったらしい。
「…あぁ」
「珍しいな元就がぼーっとするなんて」
そう言って笑った元親にふっとあの子の面影が重なった。
そう言えば、一時忘れていたあの子のことを思い出したのも元親と会ってからだった。
もしかしたら此奴と何か関係があるのでは…
「………」
「なんだよ…人の顔じっと見て?あぁ…やっと俺に惚れたんぶはっ…」
むかついたから思いっ切り殴ってやった。
「そのようなこと天地がひっくり返っても有り得ぬ!」
「酷っ!?俺がこんなにも愛情表現してるってぇのに!?」
前言撤回だ。
こんな奴と関係があるはずがない。
「黙れ!貴様は一生その口を閉じていろ!!」
できることならもう一度あの子と話しがしたい。
そして、我に笑いかけてはくれぬだろうか…。
気づけば近くに
(どうして元親とあの子の笑顔がかぶるのだろう)
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