瀬戸内
□下がる温度
1ページ/1ページ
「寒ィなぁ」
そう呟いて、ソファーに座る元就を横から抱きしめた。
元就の体温が伝わってくる。
あったかい。
元就はと言うとたいした抵抗も見せなかったが、こちらは向かずに「毛布にでも包まっていろ」と一言だけ放った。
意地でも離れるものかとぎゅうっと腕に力を込めると、元就はしばらく俺の腕の中にいたものの、そのうち俺の手を振り払い、何も言わずに立ち上がった。
「あれ、どこ行くんだよ」
「……」
元就は俺の言葉を無視し、さっさと隣の部屋へ行ってしまった。
そんなに嫌だったのだろうか。
考えると寂しくなった。
元就が座っていた所が空いて、冷たい空気に触れる。
空気は、元就が与えてくれた熱を奪った。
何だか余計、寒く感じる。
「元親、」
一人丸くなっていると隣の部屋から呼ばれた。
さっきは逃げたくせに何だよ、と思いつつも元就の元へ向かう。
元就は押し入れを開いて上の方を見つめていた。
「何だ?」
「こたつを出せ」
こたつか。
確かに、そろそろ出してもいい頃だと思っていた。
「こたつがあれば寒くなかろう」
「おう、そうだな。……あれ、もしかして俺の為に…」
「誰が貴様の為に探すものか。我も寒かっただけぞ」
元就はそっぽをむいて、腕を組んだ。
あぁ、やっぱ俺の為か。
俺は嬉しくて、押し入れからこたつを出しながら微笑んだ。
冬到来
「あれっ、コードがねぇ」
「何?それでは意味がないではないか」
「しょうがねぇから抱き合っ「探せ」
[戻る]