瀬戸内
□冬でも高温
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「んっ…」
いつもより肌寒さを感じて目が覚めた。
目覚めると元親の腕の中にいるのにはもう馴れてしまった。
腹に回っている手を退かすと蒲団から出る。
障子を開けると部屋には冷たい風が入り込んできた。
「どうりで寒いわけだ…」
庭は白一色で埋まっていた。
未だにいくつもの白い粒が降り続いている。
雪だ。
「元就?」
我が動いてか寒さでかはわからないが元親が起きていた。
寒そうに毛布にくるまっている。
我は障子をそっと閉めた。
「…起こしたか?」
「いや、大丈夫だ。それより元就ももう一回寝ようぜ。寒ィだろ?」
もう起きようと思っていたのだが、たまにはこんな日もいいかと思い直す。
「…あぁ。雪が降っていた」
「だからこんなに寒ィのか…じゃあ起きたら遊ぼうぜ!」
我は蒲団に潜り込んだ。
毛布をかぶると元親に腰をがっちり捕まれる。
「…嫌だ」
我はそれだけ言うと再び眠りについた。
元親の腕の中は温かい。
腕の中にいる時だけはずっと春のようだ。
例え雪だろうとこの温もりは消せはしないだろう。
我専用の暖房器具
(今年の冬も乗り切れそうだ)
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