真田主従
□失った重さ
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駆けつけた時にはもう遅かった。
「真田の旦那…?」
目の前に横たわるは自分の主である真田幸村。
いつもはうるさいくらい騒いでいる主がただ静かに。
身体からはおびただしい血を流して。
俺様はゆっくりと真田の旦那に近づいた。
心臓が大きな音をたてる。
「冗談でしょ?」
旦那のすぐ横まで行くと地面に膝をつく。
未だに動かないその身体を軽く揺すってみる。
「ねぇ旦那…旦那、旦那ァ!!!」
いくら名を呼んでも、揺すっても目を覚まそうとはしない。
「…旦那を護れないなんて、俺様真田忍隊失格だなぁ」
俺様は自嘲気味に笑った。
一番護らなければいけない者を失ってしまったのだ。
目尻に熱いものが込み上げてくる。
それはいくつもの水滴となり旦那の身体へと落ちていく。
「ぁ…忍自体失格か…」
まだ自分にもこのような感情が残っていたことに驚く。
それと同時に恨めしくも感じる。
感情がなければどれほど楽だったことか。
こんな苦しい思いをするなら感情なんてイラナイ…
護りたいものがなくなった
(このクナイ…どこに向けようか)
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