学園

□とあるテスト前の風景
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「どうだ?」

「ハズレ」

「なんとぉぉぉ」


幸村は頭を抱えてうなだれた。
連続13回不正解だ。


「うぉぉぉぉぉぉ!!!」

「…ねぇ旦那、その、ハズレたら腹筋50回っての、止めなよ。そんな暇あったら問題解けるって」

「しかし、間違えたということは、某が未熟ということ!」

「あーそうですか」


未熟って、腹筋とは関係ないでしょ。と、佐助は肩をすくめた。

幸村は問題を間違える度に腹筋をするので、なかなか先に進まない。


「次の問題解けたら、団子買ってきてあげるから、早く次やって」

「何っ!!真か!」


幸村はガバッと起き上がって、机越しに佐助に顔を近づけた。
佐助のモノで釣る作戦に上手く引っ掛かったようだ。


「ほら、早く」

「おう!」

「…」

「……」

「………」


幸村は教科書にかじりつくようにしていたが、やがて首を傾けた。


「わ…わからぬ」

「団子はお預けかなー」

「そ、そんな!!」

「よく考えてみてよ」

「……佐助、」

「ん?」

「腹が減って何も考えられぬ」


佐助は気が抜けて、危うく机に頭をぶつけるところだった。


「ちょっ、さっきあんなに運動したからでしょ!」

「そうかもしれぬ…」


幸村はノートの上にあごを乗せてしまっている。
完全にやる気はないようだ。


「はぁ…団子買ってくるから、その間に一問解いといてよね」

「おぉぉ佐助ぇ!!恩に着るでござるぅぅぅぅ!!!」

「あーはいはい、ちゃんとやっといてよ?」


そう言うと、佐助は財布を持って立ち上がった。








「ただいまー」

「……」


佐助が袋を抱えて帰って来たが、幸村の返事はない。



「旦那?」


佐助が部屋に入ると、幸村は机に頭を乗せて、規則正しい寝息をたてていた。


「……もう、しょうがないな」

(何点とっても知ーらない)


佐助はため息をついて机の上に団子を置くと、自分の勉強を始めた。







12点
「赤点でござるぅぅぅぅ」
「俺様はちゃんと教えたよ」


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