学園

□いろいろないろ
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「半兵衛見ろよ!慶次スペシャル」

「…そんなにかけて、もう何味だかわからないじゃないか」


彼はかき氷に、全色のシロップをかけた。
統一感なんて欠けらもない。


「いいんだって。スペシャルだから」

「今はいいかもしれないけど、混ざってくると色が汚くなるよ」

「溶ける前に食べる」

「あっそ」


呆れながら僕もシロップをかけた。
綺麗な紫色のグレープ味。

思ったより勢いよく出てきたので、半分くらいかかったところで一旦止めた。


「半兵衛一色!?つまんないの」

「つまんないとは何だ。だいたい、シロップをかけるのに楽しさを求めるのもどうかと思うよ」

「貸して」

「あ、ちょっと」


慶次くんは僕の手からかき氷を奪いとると、別の色のシロップをかけ始めた。
淡い黄色のレモン味。


「もういいよ、かけすぎ」

「さっきより綺麗になっただろ?」

「そうかもね」


正直僕は一つの味を楽しみたかったんだけど。


「混ざらないように食べなきゃ」

折角綺麗な色なんだ、混ざって汚くなるなんてもったいない。


「あ、ヤバい。結構混ざっちゃった」

「だから言ったじゃないか」

「何かさぁ、色と色で喧嘩してるみたいだな!」

「そうだね」


僕は自分のかき氷を見た。
慶次スペシャルほど酷くはないけど、少し混ざって新たな色を作り出していた。


(これ、僕達みたいだ)


僕達、喧嘩ばっかりしてるから。
丁度かき氷と一緒。


そう思っただけで、慶次くんには言わなかった。






、溶けて混ざって、

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