学園
□みるきーの道
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「それに願いを書いたら叶うって、お前そんなの信じるのかよ」
政宗は呆れていた。
元親が、細長い紙を嬉しそうに握りしめているからだ。
笹の葉に結ぶアレだ。
「天にすがりてぇ時もあるってんだ」
「やるだけ無駄だろ。何つーか…女々しいな」
「別に女々しくなんかねぇだろ」
そう言うと元親は、上機嫌で紙に何か書いた。
女々しいと言われたことについてはあまり気にならないようだ。
「何書いたんだ?」
「ハハッ、秘密」
政宗は覗き込んでみたが、元親は紙を素早く隠してしまった。
「あーそうか。別に興味ねぇがな」
「政宗も書くか?」
「Ha!書くかよ」
政宗は部活に行くらしく、元親に背を向けて歩きだした。
「Ahー、そうだな」
そう口にしながら、政宗は教室の出口で止まり、振り返った。
ニヤニヤと笑っている。
「叶ったら教えろよ」
「おうよ!」
元親はそう答えて親友の背中を見送った。
「よし…」
元親は短冊を書き上げると、下駄箱の近くにある笹(誰が持ってきたのだろうか)に、それを結んだ。
元親が願い事を結ぶ前に、いくつもの短冊が結びつけられてていた。
そんな色とりどりの短冊が七夕を象徴していた。
(元親のはどれだ?)
政宗は短冊に書かれた願い事を、順番に読んでいた。
『彼氏ができますように』『金持ちになれますように』などという典型的な願い事を、政宗は鼻で笑い、元親の下手くそな字を探す。
他には『団子を沢山食べたいでござる!』『謙信様ともっと話しがしたい』『旦那に落ち着いてもらいたい』などというものがあった。
みんな願いはそれぞれだ。
「…Ha、くだらねぇ」
やっと元親の短冊を見つけた。
内容は、予想通り女々しいなと思った。
政宗はフッと笑い、校舎をあとにした。
笹の葉は何だか涼しげに揺れていた。
元就と仲直りできますように!
小さな小さな願い事
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