学園
□只今喧嘩中
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昨日、家に帰ってから全く手をつけなかった英語が、わからない所だらけだということに気づいた。
授業中、寝ていてノートも全然とっていない。
元就とは口をきける状態ではないので、ここは英語が得意な政宗に聞くことにした。
「政宗、英語教えてくれねぇか?」
「…毛利はどうした」
帰る準備を進めていた政宗だったが、声を掛けたら動きを止めてこっちを向いた。
昨日元就と一緒に勉強していたことを知っていたから、変だと思ったらしい。不思議そうな顔をしている。
元就がダメだからお前を頼ってるんだって。
「英語は政宗に聞けってよ」
自然と嘘をついていた。
なんとなく元就と喧嘩したことを他人に知られたくなかった。
そりゃあ、時間が経てば誰だって気づくだろうが。
「Hum...お前、毛利と喧嘩しただろ」
理由としては十分だし、嘘だと気づかれないと思ったのだが、政宗には通用しなかった。
「なっ…違うぜ、その……違うからな!」
政宗はニヤニヤしている。
繰り返し否定するなんて、自分でも馬鹿っぽいと思った。
肯定してることと同じだ。
「…ha、まぁいい。さっさとやるか」
「…あぁ」
政宗は机をくっつけて、ノートを開いた。
喧嘩した理由を訊かれると思ったが、政宗は何も訊かなかった。
それには少し、感謝した。
ちらっと元就の席に目をやったら、そこにはもう元就は居なかった。
君のいない教室
(あぁ、もう帰ったのか)
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