学園
□テストなんて大嫌い
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「あーもう、わかんねぇ」
「貴様よく高校に入れたな」
テスト前、教室に残って勉強をしていた。
元就は早く帰りたそうだったが、ムリを言って残ってもらった。
「入試のときは必死だったからなぁ…俺もやればできるってもんよ」
「ならその時のように必死でやらぬか」
元就が冷たい目で睨むから、再び問題に取り掛かった。
しかしさっぱりである。
「元就ィー、これは何でこうなるんだ？」
「…はぁ……それもわからぬとは」
“一緒に勉強”というより“俺の補習”だった。
元就は頭がいいから、何を聞いても教えてくれる。(いちいちけなしてくるが)
だからって頼りすぎてた。
さっきからずっと質問攻めなのだ。
「そうか！わかった！」
「とっとと次をやれ」
「次の問題もわかんねぇ」
「…少し自分で考えたらどうだ」
俺が質問を繰り返したせいか、それとも飽きたのか、元就はイライラし始めた。
彼はシャーペンを置いてしまっていた。
ジメジメとした湿っぽい空気が不快だということもあって、不機嫌さは増すばかりである。
俺も、あまりに問題が解けなくて嫌になってきた。
「…めんどくせぇ」
「何だと？貴様につき合っている我の方がよっぽど面倒臭いわ」
「教えてくれよ」
「だから自分の力で解いてみろと言っておるのだ！」
「出来ないから聞いてんだろ!?」
「自分で解いてみなければ出来るものも出来なかろう！」
「だから出来ねぇんだって！」
お互い熱くなってしまって、引き下がろうとしない。
そのまま口論は激化した。
「だいたい貴様は我が教えても、すぐ忘れてしまうではないか！」
「アンタの教え方が悪いんだろう？いちいち馬鹿だとか、阿呆だとか言いやがって」
言った後で、言い過ぎたと気づいた。
こっちは教えてもらってる身なのに。
「…もうよい。貴様など知らぬ！赤点でも何でも取るがよい！」
元就は目も合わせないでノートと筆箱を鞄に放り込むと、荒々しく教室を出ていった。
俺は一人、取り残された。
「あー、くそっ」
椅子を乱暴に机に滑り込ませた。
椅子の脚と机の脚という金属同士がぶつかって、怒っているような鋭い音がした。
それは実に耳障りだった。
もう、どっちが悪いとかそういうのじゃなくて
(テストが悪い！そう、全部テストのせい！)
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