小説
□華血
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「半兵衛!どうしたんだよ!?」
半兵衛のところへ行くと、彼は鼻を押さえてうつむいていた。
指の間から赤い筋が流れていた。
「秀吉が…」
「秀吉!?アイツに殴られたのか!?」
ねねのこともあって俺は焦った。
半兵衛は男だし強いけど、秀吉の力には敵わない。
それに半兵衛のことだ、秀吉に何をされようとやり返したりはしないはずだ。
「待ってろ、今殴り返してくるから」
「慶次君違うんだ!」
「何がだよ!!そんなに血ィ出てんじゃねーか!」
冗談じゃない。
いくら秀吉が好きだからって殴られてもやり返さないなんて!
「これは僕が秀吉のかっこよさに興奮して鼻血を出したんだ」
「………え」
「秀吉がね、山から下りてきた猪を……それで拳ひとつで………城が半壊してね……その時馬が鳴いて……空が…………爆発したんだ。でも…」
「………」
半兵衛の話は全く耳に入って来なかった。
なんかすごい話をしてた気がするけど、そんなのどうでもいい。
俺が必死になったのは何だったんだ。
凄く惨めな気持ちになった。
それと共に沸き上がったのは嫉妬心。
「だから慶次君、秀吉を殴ろうなんて馬鹿なこと考えるんじゃn「秀吉ィィィィィィ!!!」
半兵衛が言い終える前に、俺は叫びながら秀吉の元へ走り出していた。
興奮して鼻血って何!?
(うらやましいですあーうらやましい)