小説
□出来心・続
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元親はペットのオウムを探していた。
元就にこっぴどくやられてから、オウムの姿を見ていないのだ。
「どこ行ったんだろうな…」
そうつぶやきながら船の上から辺りを見回していると、遠くに黄色い点が見えた。
それは近づくにつれて、ゆっくりと大きくなり、鳥であることが確認できた。
「お!いたいた!」
その鳥はどんどん近づき、元親の肩に止まった。
元親が探していたオウムである。
「どこ行ってたんだ?」
元親はオウムの頭を撫でてやった。
オウムは嬉しそうだ。
『アニキ!!』
「おいおい、この前名前教えたばっかだろ。俺の名は?」
この前、折角元親と呼ばせることが出来たのに、またアニキに戻ってしまっていた。
オウムは元親の指を甘噛みすると、再び喋りだした。
『ヒメワコ!!むかしちょそかべもとちかはヒメワコだた!』
「ちょっ…そんなもんどこで覚えた!!??」
『ヒメワコ!!』
「やめろ!!言うな!!」
元親が動揺して大声を出したせいでオウムは飛んで行ってしまった。
『にちりんよー!』
去り際にそんな言葉を残して。
どうやらオウムは元就のところで言葉のレッスンを受けたらしい。
「元就のやろう…」
元親は元就がいるであろう方向を睨んだ。
その頃、元就は…
「今頃慌てておろう。これで我に刃向かおうなどという馬鹿な考えは起こすまい」
と言って、自室で小さく笑っていた。
仕返しはぬかりなく!
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