小説
□日輪信仰者
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中国、安芸の地にある高松城。
ここの城主…毛利元就はいつものように日輪を奉っていた。
そんな時である。
「よぉ」
そう言いながら城の一角からひょっこりと顔を覗かせたのは四国の鬼…長曾我部元親だ。
元親を見た元就は眉間にいつもの2倍はシワをよせた。
「何故貴様が我が城にいる!?招き入れた覚えはないぞ!?」
そんな元就の態度も気にせず元親は元就へと近づいて行った。
「堅いこと言うなって」
「即刻出てゆけ!!さもなくば我が永遠の眠りにつかせてやろうぞ!!」
元就は置いてあった輪刀を手に取り構えた。
「んだよ…せっかく遊びにきたってのによォ」
「遊びだと…?我にそのようなものは必要ないわ!!」
「んなこと言うなって…俺も日輪?拝んでやっから」
元親の言葉に元就はしばらく考えこんだ。
「………いいだろう。そこに並んで我と同じことをするがよい!!」
「…いいのかよ…」
元親はダメ元で言ってみたものの案外あっさりと城内にいることを許されたので何事も言ってみるもんだなと実感した。
数分後…
「なぁ…元就ィ?これ何時までやってりゃいいんだァ??」
元親と元就はさっきからずっと日輪を奉っている。
元親はいい加減飽きてきたし、立ちっぱなしで手を上げているので疲れてきた。
「貴様の日輪への気持ちが感じられん!!貴様のせいで何時もより日の光が弱いわ!!」
「それは関係ねぇだろ…」
「よって、あと30分は奉る!!」
延長戦に突入だ。
「あ〜、俺用事思い出したからそろそろ帰るわ。またな!!」
元親はそんなにやってられるかと思い、そそくさと帰ろうとした。
しかし、それを許さんと言わんばかりに元就の手が元親の肩を掴んだ。
「我が逃がすと思うてか?」
この時、元親はいろいろと後悔した。
(元就に日輪の話しをふっかけるもんじゃねぇな…)
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