ヤンデルーム←
□闇(病み)小説
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「あれ、雨?」
「うわっ、ホントだ。さっきまで晴れてたのに……」
「ロイド〜、実は雨男なんじゃないの?」
「俺の晴れ男伝説ナメんじゃねーぞ。ジーニアスこそ雨男だろ?」
「うんそうだよ、知らなかったの?」
「じゃあなんで聞いたんだよ」
「ってことはさ、ロイドよりボクの方が影響力が強いってことだよね。いやーさすがボク」
「よかったな、今すぐトリエット行ってこいよ。歓迎されるぞきっと」
そんな会話を交わしながらロイドとジーニアスは、森の中雨を凌げそうな場所を探し走っていた。
今はまだ激しくはないが、雨は徐々に強さを増している。
「――あ、ねェ、向こうに見える崖、あの辺窪みできてない?」
「お、ホントだ。雨宿りにちょうど良さそうだな」
走りながらジーニアスが指差す方向には、ごつごつとした岩肌が目立つ崖に空いた穴があった。
2人が穴の近くまで行くと、どうやら洞窟になっているらしいその入り口は、人が2人横に並んで通れるほどの大きさで、
「中、入っちゃって大丈夫かな?」
「魔物の気配はないけど、一応警戒しとくか」
中に入ると、高さと横幅が急に広がり、1つの部屋ほどの広さになる。
奥行きは深く、その上曲がりくねっているためどれほど穴が続いているかは分からない。
「意外と広いんだね。どこまで続いてるんだろう」
「なァ、ちょっと奥まで行ってみようぜ」
「えー、もし迷って出られなくなったらどうするの」
「大丈夫だって! さ、行こうぜ!」
言うが早いが、ロイドはさっさと奥へと歩き出した。
ジーニアスは1度溜め息をついて、それからロイドの隣に並んだ。
「やっぱり薄暗いな。転ぶなよジーニアス」
「その時は道連れにしてあげるから大丈夫だよ」
「いやどこが大丈夫なのか全然分かんねーんだけど」
「それはロイドの理解力が足りないからだよ。もっと勉強しなよ」
「そうか、俺の理解力が足りないのか、なるほどな。うん、おまえ喧嘩売ってるだろ?」
「残念ながらボクは喧嘩の安売りはしないよ。ロイドに買える?」
「買ってやろうじゃねーか。俺は値切るのは得意だぜ」
「うわー、意外とセコいな。……あ、行き止まり」
ジーニアスの言う通り、いくつか曲がったところで道は終わっていた。
そこは入り口付近の空間よりは狭く、高さ、横幅は共に2mほど。
光が直接入らないせいで、ほとんど暗闇に近かった。