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□晴れのち雷雨注意報
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どうしてこうなるのだろうか。

真夏の日差しは容赦なく地上に降り注ぎ、地面を熱する。
その熱は、人々の体力を容赦なく奪っていく。常ならば自慢のふわふわとした毛並みも、暑さを助長している。
軍から与えられている部屋は所詮、一兵に与えられるレベルのものでお世辞にも空調設備が整っているとはいえない。廊下でゴロゴロと寝そべっていても、室内よりは少し風が通る程度で気休めにしかならない。

だから、涼しい場所を求めて建物の外に出た。外に出てからまだそんなに時間が過ぎた訳ではなかった。

それなのに。

「なんなんだよ、この天気はよぉ!降るなら降るって言えよ!!」

空を切り裂くように駆ける雷。建物を、大地を激しく叩く大粒の雨。
望み通りに、急な激しい雨によって地上の熱は冷まされ涼しげな……やや冷たいとも感じられる風が吹く。

涼しい木陰を探すべく外に出たまでは良かった。だが、その後ほんの僅かな時間で空は急激に気分が変わったようで、再び建物の中に戻る破目になった。
慌てて建物に駆け込むも、あまりにも急激な雨になすすべもなくずぶ濡れだ。

確かに、暑い暑いと文句も言ったし、涼しくなれと願った回数もかなりの数だ。
だが、何か違う。外に出る気になった途端、この天気とはどういうことだ。
まるで空に馬鹿にされているような気すらするのは何故だろうか。
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