素敵な宝物

□あなたに会いたくて
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駅弁とお菓子とジュース。
準備は万端!
電車に乗って、千葉へレッツゴー!


「♪♪♪」


「…英二、ご機嫌だね。」




隣で何語かわからない、明らかに妖しい本を読んでいる不二が、ちらりと俺を見る。




「ほぇ///そっ…そかにゃ?」


「うん、虐めたくなるくらい。」


「なっ!…不二のその基準がわからないし。」


「クスッ」




2人っきりで何処に出かけてるかと言うと…




「わっ!不二見てみて!海だよっ!海。」


「そうだね。英二、あまり窓から身を乗り出すと危ないよ。」


「大丈夫ぃ…っ…にゃっ」




一瞬バランスを崩したかと思うと、不二がすかさず引っ張ってくれる。




「ほら、言った傍から」


「うっ…ごめんにゃ…」




シュンと首をうなだらせると、不二が頭を撫でてくれる。




「本当に…、目が離せないよ、君からは。」


「うぅっ…」


「佐伯に勤まるかな、猫の世話。」


「……猫言うなっ(ボソッ)」




やらかしてしまった後だけに、強く言えない俺。




そう、今日は、不二に連れられて千葉の佐伯の所へ遊びに来た。
俺と佐伯は、付き合い始めてまだ1ヶ月。
んで、あまりに会えない俺達を見兼ねて、不二が連れて来てくれたんだけど。




「ふぇ…緊張するっ」




何せ、告白されてからはメールと電話のやり取りばっかだったからにゃ。









電車が駅に着き、降りた瞬間、ふわりと抱きしめられた。




「菊丸!」


「ほぇ///佐伯…」


「来てくれて、有り難う。会えて嬉しいよ。」




爽やかな笑顔で迎えられ、身体中が熱くなる。




「不二も、有り難う。」


「クスッ、良いよ。毎日毎日、会えない会えないって隣でニャーニャー騒がれたら、連れてくるしか無いでしょ。」


「にゃっ///ふっ、不二ぃっ!」




佐伯と不二が、大爆笑する。
もぅ、俺ってばめちゃめちゃ恥ずかしいヤツじゃんっ!




「そんなに会いたいって思ってくれてたなんて、嬉しいよ。ずっと、不安だったから。」


「不安?」




佐伯の綺麗な手が、俺の頬を優しく包んでくれる。




「あぁ、菊丸は可愛いから、ライバルが多いしね。」


「はぁ?何言って…。ソックリそのまま返すっつーの!」




佐伯はとにかく格好良い。
そして、性格も良い。
絶対周りがほっとかないはずだよ。


「はいはい、イチャイチャするのは後にして、移動しようか?」


不二に促され、いまだに佐伯にくっついてた自分に気付いて、また熱くなる。


「ごっ、ごめっ…」
「いや、俺こそ…」

苦笑の不二を横目に、2人で微笑みあった。

「そう言えば、不二。」
「ん?何かな。」
「電車の中で、菊丸を抱きしめてただろ。」
「ほぇ?あっ…それ違っ…」


反論しようとすると、不二から口を塞がれた。
そか、佐伯も動体視力良いんだった。


「だったら?」
「菊丸に触れていいのは、俺だけだ。今後は不二でも許さないよ。」
「…佐伯///」


まさか、そんなにキッパリハッキリ言われるとは思わなかった
佐伯ってば、意外に言う時は言うんだ。


「クスッ、合格かな。」

そう言うと、クルリと今来た道を引き返す不二。


「不二、どうしたんだよ!」
「僕は、これで帰るよ。後、よろしくね。佐伯。」
「あぁ。」
「不二、ありがとにゃっ!」


駅への道を歩きながら、後ろを向いたまま手を振る不二を、一時ボーッと見ていた。


「菊丸、行こうか。」
「うん。」


頭をポンッと叩かれ、2人並んで歩き出す。
隣をちらりと見ると、綺麗な佐伯の横顔が映る。


「菊丸。」
「っ!なっ、何?」


いきなり名前を呼ばれて目が合い、ドキドキする。


「手、繋いで良い?」
「えと…うん、良いよ。」


俺は良いけど、佐伯は地元だし、男の俺なんかと手繋いで歩いちゃって大丈夫かにゃ?


「菊丸、ごめん。いろいろ案内してやりたいんだけど、まずは家で良いかな?」
「良いけど?」
「菊丸の事、もっといろいろ知りたいんだ。外も、中身も。」
「さえ…」


それって、もしかして…
佐伯の顔が近づいてくる。
そして、耳元で―

「見せてね、俺だけしか知らない菊丸を。」
「///」


出会って数ヶ月、付き合い始めて1ヶ月…
お互い、これからいっぱいいろんな事知っていく。
怖いけど、楽しみだにゃ。






END
 

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