素敵な宝物

□等身大の恋愛事情
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「おチビ見てみて、かっわいい〜。」


「…本当だ。」




英二先輩と付き合いはじめて、初めて部活が休みになったから、デートに誘ったんだけど…




「不二ぃ、こっちに居るよ〜」


「ん?」


「……」




そう…もれなくこの人も付いてきた。




「本当だね、可愛い。英二に似てるね。」


「ほぇ、そうかにゃ?」


「うん、この大きな瞳とか柔らかい毛とか。」


「にゃ…///」


「(怒)」




俺の英二先輩に、触るなっ!


そう、俺達が休みって事はこの人も休みなわけで。




『んじゃ、3人で遊ぼっ!』




鶴の一声でこうなってしまった。




「不二先輩、コレ俺のだから、触らないでくれます?」


「クスッ、越前くん居たんだ。小さくて見えなかったよ。」




ったく、いつもいつも、こんな感じで邪魔してくる。
人気者で可愛い恋人を持ってしまった宿命なのかもしれないけど…




「も〜う、仲良く遊ぼっ!」




…誰の所為だっての!
俺は深くため息をついて、他の男の隣で楽しそうに笑う愛しい恋人を見つめた。













「はぁ、楽しかったにゃ。」


「クスッ、英二ってば本当にペットショップ好きだよね。」


「うんっ、だって可愛いじゃん。」


「英二が一番可愛いよ。」


「ふっ、不二ぃ〜///」




いつものパターンだ。
きっとこの2人は、教室でもこんな感じ何だろうな。




「…おチビ、どったの?」


「別に…」




完全に拗ねモードに入った俺は、プイッと外方を向いてしまった。




「クスッ(ガ・キ)」


「!!!」




不二先輩が頬杖つきながら、笑っている。
クソッ、バカにしやがって!




「おチビ〜?」




小首を傾げて顔を覗き込んでくる英二先輩。
近すぎる顔に思わずドキッとする。
それを振り払って、俺の不満をぶつけた。




「英二先輩、そんなに俺と2人が嫌なんだ。」


「ほぇ…そ…そんな…」




一気にシュンとなる英二先輩。




「越前!何て事言うのさっ!」




開眼して睨み付けてくる不二先輩が俺の胸ぐらを掴む。




「何するんだよっ!放せッ!」


「君が英二に謝るまで放さない。」




睨み合いの中、不意に俺の背中にいつもの心地よい温もりを感じる。




「もぅ、良いから。不二。」


「英二…」


「ごめんね、おチビ。俺…おチビと2人きりだと、ドキドキしっぱなしで、心臓壊れそうになっちゃって。何か…上手く話せないし…。」




後ろで消えそうな声で話す英二先輩。
それって…




「英二先輩?」


「うっ…!だって、おチビが明るくて騒がしいくらいの俺が好きって…言ってくれたから…」




つまり、2人きりだと緊張して上手く話せないから、そんな英二先輩は俺の好きな英二先輩じゃないって…思ってるって事か。


ったく、この人は…




「おチビ…怒ったの?」




上目遣いにおどおど俺の様子を伺う英二先輩が、あまりにも可愛くて…愛しくて。




「英二先輩!」


「にゃっ///」




俺は思いっきり強く、目の前の愛しい存在を抱き締めた。




「…まったく、人騒がせなバカップルだよね。」




深い溜め息をついて、薄く笑う不二先輩が目の端に映る。




「すみませんでした。不二先輩。」


「クスッ、素直なキミはちょっと怖いな。…それに」




英二先輩を抱き締めている反対側の耳元でポソリと呟く。




「英二の事、諦めた訳じゃないから。」


「っ!!」




俺の睨みを軽やかにかわして、




「じゃ、英二。僕は行くね。また明日教室で。」


「うん。不二っ、ありがとにゃ。」




英二先輩にニッコリ微笑んで、手を振り去っていく不二先輩。
悔しいけど、スマートで格好良い。




「おチビ…えと///」




未だ俺の腕の中でじっとしている英二先輩を見ると、大きな瞳と視線がぶつかる。




「…こんな俺でも、良い?」




なんて、言ってくるから、思いっきり耳元で囁いてやった。




「どんな英二も愛してるよ。」


「///」




これから、いろいろ2人だけの会話をしていけば良い。
だって、俺達の恋は、まだ始まったばかり。




無理に背伸びする事は無いんだ。




俺も…英二も…。




「とりあえず、自己紹介でもしてみる?」


「あははっ、うん、そだね。」




等身大の、お互いを…。
知っていくんだ。




END

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