リボーン2
□甘く薫はキミの声
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ごめんなさい。
ごめんなさい。
キミを苦しめて。
キミを悲しませて。
キミを泣かせて。
―――ごめんなさい。
【甘く薫はキミの声】
静寂な部屋。
聞こえてくるのは、蝉の鳴き声と時計の秒針。
そして。
大粒の汗を垂らす、お茶の入ったグラスの中の氷が奏でるカランという涼しげな音。
苦しい程の沈黙が部屋を支配する中、ディーノは目の前に座るツナをチラリと見た。
ツナはただ、黙ってうつむいている。
何かを口にしようとしては、喉が張り付いたように声にならず、何度も口を開いては閉じるという動作を繰り返した。
どれほどの時間、こうしているのだろうか?
仕事でこの国に来たディーノが仕事を終わらせてツナの家に来た時は、まだ日が上に昇っていたのに。
今では外は少し日が落ち始めていた。
痛い程の沈黙を破ったのは、うつむいていたツナだった。
「―――仕方、ないですよね」
ポツリと小さく漏らした言葉に、ディーノはツナを見た。
「仕方ないです。だってディーノさんは、キャバッローネのボスで……守らないといけないモノがたくさんあるし」
「………」
「オレはまだ中学生で、親の庇護がなければ生きてもいけないし……」
ホント手が掛かるし、とツナは言ってまたうつむく。
そんな彼の様子を見ていたディーノは、ツナを抱き締めようとして伸ばした手を、すんでで止めて降ろす。
愛しい彼を苦しめているのが、紛れもなく自分だと分かっているから手は伸ばせない。