リボーン2
□甘く薫はキミの声
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「オレには……何も言えません」
「ツナ………」
「だからディーノさん」
―――オレに気なんて使わないで、したいようにしてください。
そう言って小さく笑ったツナに、ディーノは目を閉じた。
『あのな、ツナ。オレ、結婚が決まったんだ』
突然会いに来て、そう告げたのは自分。
自分という恋人がいるにも拘わらず、結婚すると告げた男に。
ツナは目を見開き、傷付いた顔をしながらも責めずに目を伏せた。
優しい彼のことだから、責めたりはしないと分かっていたが。
必死に葛藤を堪えているのが分かるツナに、掛ける言葉が見当たらなかった。
傷付けているのが自分だということを棚に上げて、慰めようとする自分に吐き気すら感じた。
でも、発言は覆さない。
それは考えて考えて、やっと決めたことだから。
「―――詰って、殴ってもいいんだぜ?」
ディーノがそう言うと、うつむいていたツナは顔を上げて首を振った。
「そんなこと、したりしませんよ」
「どうして?ツナにはその権利があるんだぞ」
自分勝手な感情だが、泣いて責められた方がマシなこともあるのだと初めて知った。
ツナは静かに瞬きを一つして、小さく笑った。
「ディーノさんはオレの初恋ですから」
その言葉に目を見開く。
「初恋って……」
「人を好きになるということを教えてくれたディーノさんを、嫌いになれないよ」
「………っ」
だから責めたり出来ない、と言うツナに、ディーノは声を詰らせた。