リボーン2

□甘く薫はキミの声
2ページ/4ページ

 




「オレには……何も言えません」

「ツナ………」

「だからディーノさん」



―――オレに気なんて使わないで、したいようにしてください。



そう言って小さく笑ったツナに、ディーノは目を閉じた。










『あのな、ツナ。オレ、結婚が決まったんだ』


突然会いに来て、そう告げたのは自分。



自分という恋人がいるにも拘わらず、結婚すると告げた男に。
ツナは目を見開き、傷付いた顔をしながらも責めずに目を伏せた。


優しい彼のことだから、責めたりはしないと分かっていたが。
必死に葛藤を堪えているのが分かるツナに、掛ける言葉が見当たらなかった。


傷付けているのが自分だということを棚に上げて、慰めようとする自分に吐き気すら感じた。




でも、発言は覆さない。





それは考えて考えて、やっと決めたことだから。





「―――詰って、殴ってもいいんだぜ?」


ディーノがそう言うと、うつむいていたツナは顔を上げて首を振った。


「そんなこと、したりしませんよ」

「どうして?ツナにはその権利があるんだぞ」


自分勝手な感情だが、泣いて責められた方がマシなこともあるのだと初めて知った。


ツナは静かに瞬きを一つして、小さく笑った。


「ディーノさんはオレの初恋ですから」


その言葉に目を見開く。


「初恋って……」

「人を好きになるということを教えてくれたディーノさんを、嫌いになれないよ」

「………っ」


だから責めたり出来ない、と言うツナに、ディーノは声を詰らせた。




 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ