リボーン2
□優しい鉢植え
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笑顔が。
―――痛い。
【優しい鉢植え】
ずいっと差し出された物に。
パチクリと瞬きをして視線をソレに落とすと、獄寺は困ったように小さく笑った。
「あげる」
一言そう告げた綱吉に、獄寺は一瞬悩み。
「……ありがとう、ございます」
礼を言って受け取った。
「うん。大切にしてね」
獄寺の礼に、あからさまに作られていると分かる満面の笑みを浮かべた綱吉を、獄寺は恐る恐る見つめた。
「あの……10代目?」
「なに?」
「えっと……スミマセン、どうして……鉢植えなんて……?」
決して鉢植えが悪い訳じゃない。
大好きでかけがえのない人がくれるものならば、それが例えゴミであろうと嬉しいのは事実。
しかも、今貰ったのはキレイに咲き誇っている、この時期にはまだ早くて珍しいクロッカス。
鮮やかな黄色がとてもキレイだ。
「キレイでしょ。随分と早咲きけどキレイだったから買って来たんだ」
「ええ、はい。キレイですけど」
「枯らしたりなんてしないでね」
綱吉はそう言うと、ドカッと椅子に腰掛けた。
その顔がどこか疲れて見えるのは、獄寺の見間違いなんかじゃないのだろう。
「……お顔色がすぐれませんね」
心配そうにそう言った獄寺を、綱吉はキッと睨みつけた。
「だ、れのせいだと思ってるの?」
表情を険しくさせて見つめられて。
獄寺は小さくスミマセンと頭を項垂れた。