リボーン2
□ポン、ポン
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連れ添ってボスの執務室へと向かう途中、リボーンは綱吉を見た。
「―――で?」
「え?」
話を切り出したリボーンに、何?という顔を浮かべる綱吉。
リボーンはこれ見よがしに溜め息を吐いた。
「はぁ……お前、オレを捜してたんだろうが」
「あ、そうだった」
ようやく思い出したのか、綱吉はリボーンに向き合う。
「オレ今日の夕方から出掛けなきゃいけないんだけど、もう一つ仕事が入っちゃってさ。代わりにその仕事引き受けてくれないかな?」
「何でオレが……。オレは3日振りに仕事から帰ってきたばかりだぞ」
心底嫌そうな顔を見せたリボーンに。
「悪いとは思うけど、他に頼める人が居なくて」
綱吉は苦笑いしながらそう告げた。
「獄寺……はお前の付き添いか。山本や雲雀や骸は?」
「隼人はオレについて来るって聞かないし、武や了平さん達は別件で任務中。ヒバリさんや骸に至っては相変わらず神出鬼没だからね」
「チッ、使えねぇ守護者ばかりだな」
舌打ちをしながら毒吐くと。綱吉は「皆、忙しいんだよ」と、この場合全くと言っていいほど意味の成さないフォローを入れた。
執務室に着くとドカッとソファに座り込む。
3日振りのこの部屋。
リボーンはようやく任務で張り詰めていた気を解く。
いつの間にか自分が気を抜ける場所はココだけになったな、とぼんやりと思った。
「ね、頼めるかなぁ?」
窺うように顔を覗き込まれて、リボーンは溜め息を吐く。
「出掛けるって、お前はどこに―――」
「あ、ゴメンちょっと待って。電話だ」
「おい」
話の途中に掛かって来た電話に出る綱吉を睨んでいると、ノックと共に獄寺が部屋に入ってきた。
「リボーンさん」
「獄寺か」
「お疲れ様です。戻られたんですね」
「だが今また仕事を押し付けられている所だ」
「ああ……」
面倒くさそうなリボーンに小さく笑うと、獄寺は持っていた袋を執務机に置いた。
「誰だ?」
「分家も分家、顔も覚えていないような奴です」
一瞥しただけで袋の中身が喪服だと見抜いたリボーンが訊ねると、獄寺はチラリと電話で話をしている綱吉に視線をやる。
綱吉は離れた所に移動して話をしていて。
相手は任務中の山本あたりだろうとふんで、少し声を潜めて答えた。
「昨夜襲撃を受けたらしく、その男の葬儀がありまして」
「分家の顔も知らないような奴の葬儀など、行く必要もねぇだろ」
この世界にいれば、襲撃だの暗殺だなんてのは珍しくも何ともない。
むしろ、殺される方が間抜けなのだとリボーンが言うと、獄寺も同意だと頷いた。
「勿論それはそうなんですが、襲撃を受けた時、その男の家族に電話があったそうで」
「電話?」
「『お前らのボスが全ての元凶であり、お前らのボスのせいでこいつは死んでいく』と」
獄寺の言葉にリボーンは眉を顰めた。
あまりにもお粗末で頭が悪い伝言だ。
「本来ならこんなことを10代目の耳に入れたくなかったのですが、その男の家族がココへやって来まして……」
10代目に知られてと告げると、リボーンは相手にしていられないとばかりに空を仰いだ。