リボーン2

□オレンジと絆創膏
2ページ/4ページ

 




ポケットに入っていたアメを口に頬張りながら、山本は繰り返し同じ歌を口ずさむ。

途中、山本の家に立ち寄って取りに戻った自転車で、二人乗りをしながら川へと向かいながら。

オレは山本に聞いた。


「さっきからその曲をずっと歌ってるね。なんの曲だったっけ?」

「これか?これは映画の曲だぜ」


教えてもらい、あぁと思い出した。


「思い出した。魔女のお話の主題歌かぁ」


随分、選曲が偏ってるなと笑う。

そんなオレの笑いに気付いたのか、山本はわざとハンドルをフラフラにきった。


「わわっ」


自転車の後ろに立っていたオレは、急にふらつかれてギュッとしがみついた。


「ちょっ、山本っ」

「ははっ」

「ひゃあっ」


スピードを上げられて首に抱き付く。


「山本、飛ばし過ぎ!怖いよっ」

「そうか?楽しくね?」


グングンとスピードを上げていくせいで、怖いけど頬に当たる風が気持ち良い。

すれ違う人達は、何事だろうかと驚いた顔でこっちを見ている。

自分よりも大きな背にピッタリしがみついているためか、恐怖は次第に薄れて来た。


「このスピードなら、飛べそうだよね」


山本が口ずさんでいた歌を思い出し、何となくそう言うと。


「おっ、それいいな〜」


山本は賛同してくれた。




 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ