リボーン2
□HERO
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いつもなら、頭のよくないオレだ。
そんなどうってことない会話など、すぐに忘れてしまうのだが。
ことツナに関することには、自分でもあり得ないほどまめに記憶していたりする。
自分のことは覚えてなくても、ツナのことなら一週間前の晩ご飯のおかずすら言えるのではないだろうか?
こんな自分の変化は、正直予想もしていなかっただけに戸惑う。
付き合うようになると、オレの変化はますます顕著で。
毎日の何気ない会話や、小さな発見が嬉しくて。
そしてそれを一人の部屋で思い出して笑ったり、くすぐったい気分になったり……。
ああ、これが恋なんだ?
初めてそう思えた。
「ねぇ、山本〜」
隣りを歩いていたツナが大きな目をクリクリ動かしながら、オレを見上げた。
―――ツナってホント、可愛いよなぁ。
小動物を連想させる程、愛らしくて困る。
「どうした?」
平常心平常心と呟いて、ツナを見下した。
「次の野球の試合さ、オレ見に行ってもいいかな?」
「ん?試合かぁ」
「やっぱりオレが行くと気が散るからダメ?」
窺うような顔が可愛い。
この顔を見たらダメだなんて言えないって。
「いいけど、相手は高校生だから、負けてもガッカリすんなよ?」
ツナの前で格好悪い姿なんて晒したくないから、本当は来て欲しくないんだけど。
そう思いながら言うと、ツナは大きく首を横に振った。