リボーン2

□シュガー
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出来上がったケーキは、我ながら惚れ惚れする出来前で。


料理なんて随分と簡単じゃないと思った。


あの子に早く食べて欲しいから、あの子の教室まで行って呼び出した。


なんですかどうしたんですかまだ授業中ですけどあああぁゴメンなさい。


あの子は困った顔で一人喚いて。
だけど大人しく付いて来た。


応接室に着いて、恐る恐るソファに座ったあの子の前に、作ったケーキと淹れた紅茶を置いて。


食べなよと勧めると、あの子は目を見開いて首を傾げながらフォークを持った。



どんな反応をするんだろうか?

美味しいと言って笑ってくれるかな?



少しドキドキしながら見つめていると、あの子は突然涙を流した。



―――何で泣くの?



その反応は予想してなかったから、戸惑う。

もしかして、美味しくなかったとか?


切り分けたケーキを口に運んでみる。



―――何これ。



口には、しょっぱさとバターの味が広がった。



最悪。
砂糖と塩を間違えたうえに、バターの分量も見間違えた。



口に広がる塩バターの味に、気持ち悪くなってドカリとソファに座り込んだ。



笑わせようと思って頑張って作ったのに、不味くて泣かせてるし。



喜んで貰えると思い込んでいた自分に嫌気が差して、あたるようにケーキをゴミ箱に捨てようとしたら。



あの子に止められた。



泣くくらいこんなマズいの、要らないでしょ。


そう言うとあの子は首を横に振った。



違うんです嬉しくて泣いてるんです。



そう言ったあの子に、僕は首を傾げた。



嬉しい?

こんなマズいのを食べたのに?



そう聞くと、あの子はソッと手を僕の頬に伸ばしてきた。


貴方がオレのためにわざわざ作ってくれたんですよね?
それがすごく嬉しくて泣けてしまいました。



そう言って僕の頬を撫でたあの子の手には、作っているときに飛んだのだろう。



―――ケーキの生地が付いていた。





 
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