リボーン2

□世界の色
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空はあお。


雲はしろ。


葉はみどり。


炎はあか。




オレが住んでる世界は、何色で描かれているの?







世界の色








緩やかな坂道を歩く。 
頬を撫でる風は秋を知らせるかのように心地が良かった。
ゆっくり歩いていた少年は立ち止まり、一つ大きく深呼吸をした。


「風が気持ちいいね」


隣りを歩いている人物に声を掛けると。


「そうだな」


17、8歳だろう青年が賛同した。


「やっぱりセミの鳴き声は聞えないかぁ」

「もう10月だしな」

「オレ、セミの鳴き声って好きなのにな」


残念と呟く少年の髪を撫でて「来年はもう少し早く来ればいいだろ」と青年は笑った。

もっとも、毎年この地へ訪れているが、蝉の声など聞けた試しはないのだが。


少年もそのことに気付いているのだろうが、小さく笑うだけで反論しなかった。 


「―――ツナ」


歩き出した少年の名を呼んで、青年はそっと腕を掴んだ。


「登りの段差があるぞ」


告げられた言葉に少年は頷いて、腕を掴んでいる青年の方を見上げた。


「ありがとう」


そう告げた少年の双眸は堅く閉じられていて、光を映さなかった。




少年の名は沢田綱吉、今年で14歳になる。
平均よりも身体は幾分か小柄だが、見た目は極々普通の中学生だろう。



―――盲目であるという以外には。



彼の視力障害は先天性ではなく、事故により眼球に傷が入った後天性によるものだ。
今の医療技術で治る見込みはあるのだが、手術には角膜の移植が必要であり。光すら感じられないようになって3年。
今はまだドナー待ちの状態が続いている。




  
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