リボーン2
□言葉の楔 後編
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どんなに想っても。
どんなに願っても。
手に入らないモノがあるのだと知った。
【言葉の楔 後編】
外から聞こえる鳥の囀りが、酷く耳に障る。
雲雀は舌打ちをして前髪を掻き上げた。
―――結局、帰ってこなかった。
変えようのない事実を目の前にして、何に対して苛立っているのか分からないが、無性に暴れたくなった。
「あいつ……っ」
ギリッときつく拳を握り締める。
綱吉が家を飛び出して、帰りを待っていた雲雀だったが、結局帰ってこないまま朝を迎えた。
一体どこで何をしているのだろうかと、考えては更に腹を立てる。
すると部屋のドアがノックされて、雲雀はドアを睨み付けた。
「よぉ、恭弥。おはよ」
「………」
中に入ってきたのは、ディーノだった。
「……入室許可出してないけど」
「堅いこと言うなって」
不機嫌そうな雲雀に笑って、ディーノはあたりを見渡した。
「ツナは?」
「………」
地雷を踏んだことにも気付かずに、キョロキョロと室内を見渡すディーノに、雲雀は手元にあった本を投げつけた。
「う、わっ」
耳元をスレスレを通った本に、目を見開く。
「おまっ……危ないだろうが!」
「うるさい」
ギロッと睨みつけてくる雲雀に、ようやくディーノは何かあったのだと気が付いた。
「何だ?ツナにまた何かしたのか?」
普段のおちゃらけた彼とは違い、真剣な表情を浮かべるディーノは、背筋が凍るほどに凄みを増す。
「あのな、恭弥。オレ昨日言ったよな?ツナを泣かせたら―――」
「あんたが余計な口出しをするからでしょ」
「あ?」
「あんたが……」
「……恭弥?」
グッと黙り込んで俯く雲雀の姿を、ディーノは驚いたように見つめた。
こんなにもハッキリしない雲雀の姿など、今まで一度も見たことがない。
(これは……昨日ちょっと煽りすぎたせいか?)
進展しているとは思わなかったが、なぜか心配で朝早くからこの家に様子を見に来たのだ。
この様子だと、どうやら自分の心配は的中したようだと、ディーノは溜め息を洩らした。