リボーン2
□夏日
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貴方のそんな何気ない優しさや言葉が、オレを歓喜の世界へと導くなんてこと……。
―――貴方は全然気付いてないでしょ?
【夏日】
休日の繁華街は家族連れやカップル、はたまた友人同士などで賑わっている。
「あっ、あの服ヒバリさんに似合いそうですね」
店先のウィンドウに飾られた服に目を輝かせながら、ツナが楽しそうに笑うと。
隣りに連れ立つ雲雀は、綺麗なのに冷たい印象を抱かせる切れ長の涼しげな瞳を、優しく細めた。
夏休み初日。
ツナは雲雀と街へと繰り出していた。
『明日、出掛けようか』
人込み嫌いな雲雀にデートに誘われた時、ツナは自分の願望が起した幻聴かと思った。
ツナが雲雀と付き合うことになって随分経つが、外で会うことは本当に数える程しかない。
何の気紛れかは分からないが、ツナは大きく頷いて『行きたいっ』と言った。
(ヒバリさんと並んでお買い物……嬉しいな)
照りつく太陽はキツく、ジッとしているだけでも汗が吹き出るような暑さだが。
大好きな人とのデートの喜びには敵わない。
太陽の熱に焼けたのか、ほんのり頬を赤くしながらも楽しそうに笑うツナの姿は、欲目を抜きにしてもとても愛らしく。
雲雀の表情は普段とは比べ物にならない程、柔らかい。
「そんなにはしゃいだりしたら、直ぐにへばるんじゃないの」
からかう様に言われる言葉にも、いつものような棘はなかった。
「えー、大丈夫ですよ。雲雀さんが側にいてくれますから」
「それ、疲れたら僕に背負わせようってこと?」
ワオ、言うようになったじゃないと笑う雲雀に首を振る。
「違います〜」
―――貴方の存在が、オレに力を与えてくれるからです。
とは、流石に恥ずかしくて言えないが。
言いたい事は伝わったのか、雲雀はますます優しく微笑んでくれた。