リボーン2
□依存
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いつだって。
彼は側で笑っていてくれたし、優しく声も掛けてくてた。
何よりも大切で。
ずっと一緒にいたいと心から願っていた。
その想いは。
あまりにも自分本位で、我が儘な感情だったけれども―――。
【依存】
イタリアの夕暮れは、遠い故郷を思い返すようなどこか物侘しい雰囲気を醸し出す。
車に揺られながら、獄寺はそう思った。
(故郷、か。本当の故郷なんて永いこと帰ってないけどな)
獄寺にとって故郷と言われると、中学時代を過ごした懐かしい日本の並盛町であり。
そして、今向かっている場所。
仕事で一週間程この国を離れていた獄寺は、急ぐ気持ちを持て余しながら夕暮れ時の街並を眺めていた。
しばらくして目的地に着くと、獄寺の顔に少し笑みが浮かぶ。
ここはイタリアにあるボンゴレ総本部。
厳重なチェックを受けてから敷地の門を潜り、車はさらに屋敷に向かって20分走るのだ。
それ程、ボンゴレ総本部はとてつもなく広い。
ここに住んでいるファミリーですら、迷子になることも日常茶飯で。
あまり方向感覚が正常だと胸を張って言い切れない者には、この城は忌々しくてムダ以外の何物でもなかった。
この城に住むようになって随分と経つ獄寺ですら、久し振りに足を踏み入れると未だに迷いそうになることも多々ある。
『この広大な土地を売っ払って、恵まれない子供達を保護する団体に寄附したら……どれほどの命が救われるだろうね?』
この城の主ですら、そんな冗談に取れないことを言う始末。
獄寺の実家も大概広大だが。ココの広さは他に類を見ない程、ズバ抜けていた。
「お帰りなさいませ」
頭を下げる使用人や部下達に挨拶をしながら、獄寺は城内を黙々と足早に歩く。
目指しているのは与えられている自室ではなく、この建物で1、2を争う程豪華な最上階に位置する部屋だ。