リボーン2
□螺旋
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一言で言い表すならば。
彼はまさしく『心の臓』だった。
そこに『ある』ことが当たり前。
疑うこともなければ、感謝することもなく。
そこに『ない』ことなど考えはしなかった。
―――今思えば、なんて傲慢かつ自己中心的な独りよがりだったのだろうか?
【螺旋】
イタリアにある広大な敷地に建てられた、ボンゴレ総本部の一室。
そこに5人の男がいた。
年齢や容姿、体格など多種多様。
唯一同じなのを挙げるとするならば。
身にしているのが黒いスーツで、表情は皆一様に暗く、空気は澱んで重いことくらいだろうか。
それぞれが思い思いの場所に座っているが、誰一人として口を開かない。
置時計の秒針が奏でる音が、いつも以上に大きく聞こえる程の静寂。
だがこの沈黙は、他の者がいたのならば息苦しさを感じただろうが、この場にいる者たちにとって不快ではなく、むしろ心地よくさえ感じている。
それは、長年の付き合いのある者が集まっているからではなく。
今考えているであろう事が、皆同じであると分かっているからだろう。