リボーン2
□HERO
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『さすが山本』
『頼りになるなぁ』
『期待を裏切らないね』
過去に受けた称賛は数え切れない。
周囲に期待されるのは気持ちよかったし、褒められると素直に嬉しかった。
だけど。
いつからだろうか?
その言葉に意味が持てなくなっていたのは…。
[HERO]
自分を『冷めた奴だな』と思っていた。
嬉しい時には笑顔で喜んでみせ。
楽しい時には大声で笑ってみせ。
悲しい時には心から泣いてみせ。
怒った時には全身で怒ってみせ。
そうしながらも、数分後には何事もなかったかのように過ごす。
それが当たり前だと思っていた。
疑う事すらしなかった。
何故なら、誰もがそうだと思っていたのだ。
それが自分の思い込みだと知ったのは、同級生の子と仲良くなった頃からだった。
「昨日さ、ゲームでランボに負けて悔しいから、今日はちょっと落ち込んでるんだぁ」
「昨日のドラマ見た?面白かったね。早く続きが見たいな」
何気ないただの会話。
だけど。
―――ゲーム負けてよっぽど悔しかったんだな。
―――そんなにドラマが面白かったんだ。オレも見てみようかな。
彼の些細な一言一言に反応し、胸に書き留めている自分に気が付いた。