5周夢

□参ったピヨった
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エースはフと目を覚ました。

「ああ、おはようさん」

そう笑う名無しはこの船の有名人の一人だ。

もう一人は勿論マルコだ。

先日、恋人から夫婦へとなった二人。

回りがやんややんやと「新婚旅行は行かねえのか」やら「夫婦で出掛けねえのか」やら囃し立てるが、「オヤジの傍を離れる訳にはいかねえんだよ」やら「いつか出掛けるよ」やらと答えるだけ。

なんというか、夫婦になった今の方が以前に比べ、一緒にいるところを見なくなった。

サッチがよく「倦怠期か!!」なんて言ってはマルコに蹴られてる光景をよく見掛けるが、そう思われても仕方無いだろう。

以前は人目も憚らずナチュラルにいちゃいちゃ、故意にいちゃいちゃしては一人身に寂しい思いをさせていたのに。

「なあ名無し」

「ん?」

「マルコに会いに行かなくていいのか?」

「マルコは今訓練中だろ?だから行かない」

そう言った名無しに、エースは「ふーん」と答えただけだった。






サッチはぐちゃぐちゃになった自慢のポンパドールを綺麗にセットしながら恨めしげにマルコを見た。

「何もそんな怒らなくてもいいだろ…」

「お前がしつこいからだろい」

「だってよ〜」

ぶつくさ文句を言いながら髪を仕上げると、遠くにいる名無しを見た。

「お前ら、最近一緒にいねーからよ、倦怠期かなってそりゃ思うだろ」

「例え倦怠期だろうとお前には関係ないだろうが」

ギロリと睨まれわざとらしく肩を竦める。

「名無しがよー、他の奴に目移りしたらどうすんだよ?ある日女連れてたりさーそれこそよー」

次々と話すサッチは気付かなかった、マルコの額に浮かぶ青筋を。

「まだまだ元気があるみてえだな…」

「やっべ…」

骨をゴキゴキと鳴らすマルコに、サッチは顔面蒼白になる。

「もう一試合ぐらい付き合ってもらおうか」

宙に舞うマルコから逃げる為、サッチは走り出した。






夜、甲板でイゾウは酒を飲んでいた。

なにかマルコの面白い話が無いかと名無しを誘ってみたが、出てくるのは皆が知ってるような話ばかりだった。

そうじゃなくて、何か恋人らしい、夫婦らしい話は無いのかと問い質しても、何も出てこない。

どうなってるんだこの2人はと思い、酒を煽った時、フとある疑問が浮かんだ。

「そういや名無し達ってよ…」

「ん?」

「もうヤることやってんのか?」

その言葉に、名無しは苦笑し、その表情からまだ何もやってないと自己解決したイゾウはグイっと顔を近づけてピンと指を立てた。

「いいか名無し、マルコはあんたに対しては奥手だから、オメェから事を進めるんだぞ」

「え?」

「きっとアイツは待ってんぜ〜あんたとヤっちゃう時をよ」

ニヤリと笑うイゾウに再び苦笑すると、空になった酒瓶を手に立ち上がった。

「その話はまた今度、オジサンが片付けといてやっから、イゾウはもう部屋に戻りな」

「おう、悪いな!」

上機嫌でその場を離れるイゾウにふぅ、と息を吐くと、ある一点を見つめた後、笑って歩き出した。






「マルコ」

「!!?」

「そんなに驚かなくても」

ククッと笑う名無しを、マルコは赤い顔で睨む。

「マルコ、俺が手を出すの待ってんの?」

「何言って…!」

「イゾウの話、聞いてたんだろ?」


笑う名無しに頷くと、ぼふっと肩に凭れる。

名無しはマルコを受け止め、その背を撫でると額に口付けた。

「皆酷いよなあ〜倦怠期だとか男として機能してないとか」

「全くだよい…」

「オジサンとヒヨコちゃんが倦怠期だなんて、心外だなぁ」

クスクスと笑い、マルコの顎に指を掛け上に向かせると、顔中にキスを落としていく。

「一人身にはキツいからおれ達の前で一緒にいるなって言ったのはアイツらだってのによ」

「もう無視して良くないか?オジサン、マルコがいいなら皆の前でもずっと一緒にいたいんだけど」

そう言って笑う名無しにマルコは頷いた。

「おれも…名無しがいいなら」

「よし、決まり。オジサン、もう誰が何言おうとずっとヒヨコちゃんといる」

幸せそうに笑う名無しにマルコは微笑むと、そっとキスをした。






後日、人目を憚らずいちゃこらする二人にサッチ達は開いた口が閉じず、また二人に一緒にいるなと喚き出した。











END
 

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