最近、雲雀恭弥がペットショップによく出入りしてるみたいですね。
昼食のおにぎりを頬張りながら言う骸に視線だけを流し、そうみたいだなと返す綱吉が空になったビールの缶を近くのゴミ箱へと投げ捨てる。(分別?そんなものは知らん。)


「何か欲しい物があるんですかね?」
「ハリネズミだろ。」
「はあ…」

意外、という訳でもないか。小さくて可愛い物を好む雲雀なら納得の範囲だ。
テレビでやっていたハリネズミ特集を見て以来、雲雀の頭の中はハリネズミの事でいっぱいらしい。そして見るだけなら構わないと思い、二人で行ったペットショップ。
ガラス越しに擦り寄って来るハリネズミはとんでもないものを盗んで行きました。雲雀の…心です。


「買ってあげれば良いじゃないですか。普段から雲雀恭弥には!雲雀恭弥だけには!甘いんですから君という人は!」
「犯すか?」
「すいません!」

ちょっと発言が過ぎましたね。クフフとごまかすように笑う骸だが、心臓は今にも爆発しそうなプレッシャーを抱えている。そんな骸にはお構いなく、まあ本当の事かとあっさり認めた綱吉が本日18本目の缶ビールに手をかけた。
何だ、自覚あるんですね…と口から出かかった言葉を飲み込み、話題は戻ってハリネズミについて。


「トゲが凶器になりそうですし…家の中をうろつかれても困るってのもありますよね。」
「トゲはどうでも良い。ただハリネズミは非常食にならないだろ。」
「食べる前提…」

ハリネズミも嫌だろうなあ、こんな人間の住む家。まあそれは冗談だが、と喉を鳴らして綱吉が笑う。(いや8割は本気に思えた気もするが。)
ペットショップにて、ハリネズミと綱吉を交互にちらちら見る雲雀の切ない表情。それをわざと無視するあの楽しさ。ねえ、と綱吉の服を掴む雲雀を、うるさいと冷たく突き放すあの気持ち良さ。


「くくっ、思い出しただけで勃つ。」
「………」

ペットショップで何考えてたんだこの人は。(いつもの事。)

「ま、でも俺も鬼じゃないからな。」
「クフフ、それこそご冗談を…」
「なあ骸、尻の穴にスイカが入るか実験してみたくないか?」
「ないです!本当にすいません!」

ぶるぶると首を横に振る骸に笑い、綱吉が立ち上がる。死ぬかも知れない!そう覚悟したが当の綱吉はそのまま骸の横を通り過ぎてリビングから出て行ってしまった。
おや?その意外な行動には首を傾げるしかない。しばらくして戻って来た綱吉が手にぶら下げている大きな紙袋に、骸は更に首を傾げた。(少しふざけてる。)(何だか余裕だな。)


「山本や獄寺にも集めさせた物だ。」
「これはっ…!」

覗き込んだ紙袋の中。そこにはハリネズミのぬいぐるみ(大、中、小、揃っております。)キーホルダー、そしてシールやノート、ペン。ありとあらゆるハリネズミグッズが大量に詰められていた。
部屋にまだベッドカバーやカーテンもある。そう言って笑う綱吉が、これならあいつも満足するだろと機嫌良さそうに煙草を吸い始めるのには素直にそうですねと返すしかない。
雲雀恭弥には甘い。本人も認めているが、ここまで来たら少し嫉妬してしまう。(どちらにとは明確に言えないけれど。)て言うかよく集めたな。手伝わされた山本や獄寺に労りの気持ちを思うが、山本は雲雀のためなら、獄寺は綱吉の命令なら何も苦には思わないのだから結局それは無駄な事なのだ。


「いや、でもこれって所詮は…」
「何だ?」
「…いいえ、何でもありません。」

1番大きなぬいぐるみを取り出してその頭を撫でる。うーん、可愛いのは可愛いけれど何か間違ってないだろうか?

ごまかされますかね?
(きっと無理。)





























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