【Extra## Collection】

□MOON VOICE
2ページ/2ページ


Voices of father not bleeding――RED……2.14
**************


揺れ動く前髪に数枚、薔薇の花びら。

その髪に飾ってアゲた薔薇一輪。
ああ……そんなに激しく動いたら散っチャウよ?


「局…ッ……う…ァ…アッ―――!!」

「別に…ただ溶かせばイイだけなんだケド……?」


ボクを深く沈めたまま、スキなアノ部分に刺激を与えようと躍起になっている。


「浅ましいとか、思わない?そんなに露骨にホシがるなんて、バカミタイだよ――――」


左右それぞれの足首と手首を対にして、手錠で繋げて。
直ぐにキモチよくなる彼の半身に、今日はチョコレートをあげた。

バレンタイン、だから。
その根元に、分厚いリングのチョコレートを嵌めた。

甘さなんてナイ、ただ苦いだけのチョコレート。
キミに甘いモノは、似合わナイから……。


「もッ…アア…ッ…お…許し…く―――ヒ……ッ!!」

「折角アゲたんだ……結果を出さないとツマラナイ」


ボクは、乞うだけのソレには飽き飽きしていた。

キミがボクに求め縋らない限りは、ずぅっと……コノママなんだって何故、キヅカナイ――?


充分に注ぎ込んだ液体が 、グプグプと粘るような音をたて滴った。

反り上がり、開放の出口までヒクヒクと痙攣させて、緩い白血を零している。

気まぐれに角度を変えて突き上げてやると、甲高い声を上げてまた腰を激しく揺らす。


「仕方ナイなぁ……ホラ、どうしてホシイか言わなくちゃワカラナイよ?」

「ァ……あふ…ッ――触れ…てくだ…さ…い」

「ふぅん……ドコに?」


リングにまで滴る白が、クリームみたいに見えて、実に愉快で。

漸く溶けてきたリングに嬌声を上げるキミは、快楽を開放したいダケの、美麗な醜いインプ。


さあ、早く言ってよ。

その淫弄な唇から、ボクのキズを癒す言葉を……




―― スベテニ
  フレテ クダサイ…




「ああ、そうなんだ……」


随分とワガママな事を言うけれど、ソレがキミの本性なんだから仕方ナイ。

手を延ばし、その望みを叶えてやった。
その髪に在る薔薇のハナビラが全て散る前に――――。


「あ――ンンッ――アア――ンア―――アアア……!!」

「キミは、やれば出来るイイコ……だよ」


ブツリ、という鈍い音と共に首の辺りにまで飛び散る白血。

キミの内壁が、痛い位にボクを締め付けるけれど……まだ、オワリじゃ、ない。



ボクを沈めたまま、息荒くうなだれるキミは、口元に薔薇の花片を乗せている。

二つに割れたリングを摘み上げ唇へと近付けると……キミは自らソレを口にした。


「キミに一片ノ祝福ヲ――――」

「ん…ッ……ン…ンッ………」



キミは祈るように、再び腰を揺らし始めた。


罪深い歴史の、その果てに。
キミは、この偽善という愛に何を祈るんだろう。


キミにあげたボクからのチョコレートは。
中々溶けない苦いモノ。
コレを溶かせるのはキミだけ。


罪深い歴史の落とし子のキミ…ひとりだけ―――








―――――End
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ