【Extra## Collection】

□『SEE-YA....』
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―――検事局


警視庁のエンブレムを映し出す巨大なスクリーンを背後に、厳徒海慈は立っていた。

左にと並べられた代務の輩達は少しばかり緊張しながら異動書を手にしている。


「―――以上、この3名が、『検事局長代理』『上級検事』に着任する事となった。日本国家の治安維持の為……頑張って欲しい」


日本大使館を拠点とし、海外に於ける司法の視察をその理由とした厳徒。

上級検事職から、次期検事局長の決定昇格となる、御剣怜侍の『局長補佐(副局長)』。

そして、数日前に。

局外秘となった一件の為、上級検事職を解任された神ノ木 荘龍。


余りにも緊急なその人事異動に、局内は一様混乱のさなかにあった。

その中にもう一人、新たな人物の姿があった。
検事職に赴任した彼も、本来ならば局内で一大ニュースとなる筈だったのだが。
上層を始めとしたこの異動により、影薄となってしまったのである。


(へぇ……こんな立場の人だったんだ、スポンサー)


それにはさほど興味はなく、仕事の内だからと言われて…渋々この場に出席した『牙琉響也』は、サングラス越しにその姿を眺めていた。

他局からの突然なこの異動に響也は首を捻っていたのだが、この様子を見て何と無く状況が把握出来たのである。

『上級検事』という、少々地位のあるそれも、そのうち肩書になる筈と―――そんな事を兄から聞いていた。
それを決定する人物が、長年自分達兄弟に限りない資金を提供してくれていたスポンサーであったと、こうして知ったからだ。


(Thanks……"Sugar Daddy")


自分は生まれ落ちた時から幸運の波にと乗っている……そんな事を思いつつ、響也は指先で軽いリズムを取った。

己が、そのスポンサーの遺伝子組み換えより創られた『アン・マリア・クローン』とは、未だ知らずに――――。
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