RED MOON2

□CHILD PLAY
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  《CHILD PLAY》





彼は相変わらず、狩魔クンの三歩後ろの定位置で感情のカケラもなく佇んでいる。

最近はこの彼が結構イイ働きをしてくれているらしくて、狩魔クンはご満悦といった感じ。
表情には出さないケド、杖を弄ぶ指の動きだとか、交わす会話にチラホラとソレが垣間見える。

ボクが何をしてあげても中々そうはいかないのになァと思うと、チョッピリやきもちなんかを感じたりして。
そのキレイな秘蔵っコと狩魔クンを交互に眺めては、ツマラナイ仕事の話しを聞いていた。


「その部分だけは証言部分が立件されておる為に、我輩の根回しだけでは僅かばかり及ばぬのだ」

「ふぅん……で、つまり?」

「……本日は随分と食い下がるな、巌徒よ」

「たまには、イジワルもイイかなァって……ね」


実際はマトモに話しなんか聞いてなかったし、狩魔クンがボクに何を求めているのかは全て解っていた。

だからわざと話しを遠回しにして、その気難しいな視線がボクへと注ぐようにしている。
ついでに、背後の彼がボクに興味を引くように。


「貴様の性癖の悪さにはほとほと呆れ返る」

「そう?自分じゃ中々気付かナイしねぇ―――」

「フン……何が望みか」


長年こうしていると口には出さなくても、そんな 答えがちゃあんと返ってくる。

そのイジワルな魔法使いみたいな顔を少ぉしだけ不機嫌にさせるだけで、ボクとしては実に満足だったのだけれど。
こんな成り行き上、ナニか条件提示をするようになって……さてどうしようかなァ、と煙草を灰皿に捩込んだ時だった。


一瞬、背後の無感情な瞳と目が合う。


すると、ソレは僅かにギョッとして……視線を逸らした。


まるで、誘うみたいに。



「じゃ、また貸してくれる?ソレ」

「――――。」

「…………フン…まぁ良かろう」


彼がギョッとしたのはほんの一瞬で、狩魔クンはチョッピリ押し黙っただけで。
ソレは当たり前のように簡単な取引となった。


部屋を出て行く前、幾らか物憂い顔をした彼に、ボクはニッコリと笑いかけて。

じゃあ明日またね、なぁんて小さく手を振ってあげたのだった。


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