【Extra## Collection】
□【Person who laughs】
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Extra##
【Person who laughs】
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―――検事局 局長室 内 PM.10:40
それが個人的な待機とはいえ、オレにとって自粛という名のキャンディは、1時間が限界だった。
蛻のカラとなった部屋の真ん中で独り立ち尽くし、まだ半端なジプシーを ペルシャに放り足先で踏み消す。
金で飼われた番犬達がやけに大人しい時には、決まって面倒な事となっていた。
《『焼き尽くす捧げ物』―――***'**'**;###'##'##》
漆黒の大理石で出来たテーブル上に残されていた1枚のメモ。
キナ臭い詞と数字が残されているソイツを手に、思考の深淵へと意識を集中させる。
(【焼き尽くす捧げ物】――コイツは『燔祭(はんさい)』の事だが………)
それが一体何を示唆しているのかを読み切れずに居た。
数値に関しては実に明解で、それは位置を示す緯経度のものだと直ぐに理解出来たのだが。
「何考えてやがる……」
取り敢えず、ナビでその数値を設定すれば場所は容易に判る。
狂人の詞をまともに考え時間を割いてしまった事に腹立たしさを感じ、その場所に向かう事が先決だと考えた時だった。
ベストの懐が振動する。
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着信:【isolated moon】
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携帯の液晶には御剣の携帯からの着信と表示されてはいるが。
……それが本人でない事は既に予想付いている。
からくも電波先の主が当人であったにせよ、状況は何ひとつ変わる事はない。
そこには何の議論も存在はしないのだ。
『コミュニケーションがとれないんだ。どうしてもココロの通じない相手が、イル………』
「言葉のマスターベーションなんざ聞く価値もねェ……」
『あぁ、それはキミ同様にボクだって気に入らない類いだケドねぇ……神ノ木ちゃん?』
予想通りの悪い結果となったその声に、携帯を握る指先には力が篭る。
ミリミリと軋み鳴く強化プラスチックの音も、電波は忌むべき者の耳にそれを届けてしまったらしい。
クスクスと、嘲笑う声が したからだ――――
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