【Extra## Collection】

□MOON VOICE
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Extra##
****Polaroid of a scattering rose....





「ああ、動くと刺さっちゃうよ?」

「ッ………は…い…」


キレイに手入れされた薔薇専用の温室。永遠に閉じ込めた狩魔クンの部屋に飾る為の薔薇だ。

そろそろ部屋の薔薇が枯れる頃。
たまには御剣クンをお使いに出して喜ばせてやろうかと思い、こうして呼び出したのだけれど。


「ナニ流派のだったかなァ……キミに花を生けてみたい、なんて言ってたんだ」

「…ぅ……ンッ…!」

「だから、試してミタんだよ――――」


二つ返事で迅速に現れたその姿を見て……ボクはやっぱりイジワルをしたくなった。
青臭い薔薇の薫りの中で、そういえば昔からそういったニオイのするコ、だと思っていたから。

温室の中央にあるアーチには茨の蘿が絡んでいた。そこに素裸の彼を蘿で上手く括り付けて。
最後に、髪へと一輪挿してみた。


「ああ、生まれたてのニケみたいだよ……御剣クン?」

「う―――ンァあ!…ううッ……ンン!!」

「哀しみの産声をあげてごらん?」


蕾を少し強く愛でると、半身が天を仰いで半濁した蜜をトロリと垂らす。
根元から巻き付けた蘿の刺が、抑制と刺激を与えながら。

小刻みに震える脚。
もし力を抜けば、その茨の刺が薄い皮膚を破ってしまう。

手首から、つう…っと流れ落ちる生暖かいモノは、彼に咲き乱れる真紅の薔薇の花弁を描いた。


頬を伝う涙を舌で拭い取って、彼の耳元でボクは唄う。


「Love child,love child,never quite as good……Afraid, ashamed, misunderstood……」


愛でて、慰めては。
壊れて、崩れるキミの為に。

幾許の刺が彼を苛み、与える愛撫は歓喜の嬌声へと変わる。

指にとしがみつくようにキツク吸い付く内壁が最後の断末魔を上げた後。
だらしなく割れた唇から彼は深い溜息と共に、ボクにと呟いた。


『But……I'll always……love you――――』




キミはとても美しい従順。

儚いキモチを今日も散らして、ボクの傷を癒してくれた―――――。







Extra##
【Polaroid of a scattering rose】


―――――End.
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