シュー!





「うわ、お前何それ」
「ん?プリンシュー!」


利央が食べようとしているその甘いものパラダイスのような食べ物に準太は顔をしかめた。

利央の言うプリンシューとは、プリンの上にクリームが乗っていてその上にさらにシューが乗っているというものだ。


「はいはいどーせまた、よくそんなもん食べるなァとか言いたいんでしょ!」


いーもん、準サンにはあげないもんね、と利央は頬をふくらます。


「頼まれたって食べるわけないだろ」


準太はそう言いながら利央の隣に座る。利央は鼻歌でも飛び出しそうなほど上機嫌で、これから食べるのが楽しみで仕方ない、とでも言わんばかりにうっとりしながらプリンシューを眺める。


「早く食べろよ」


いつまでも眺めてばかりの利央にうざったそうに準太が言えば、利央はもォ!と眉間にしわを寄せる。


「オレとプリンシューの甘い時間を邪魔しないでよね!」

「……」


利央が一番てっぺんにどん、と乗っているシューにスプーンを入れ、幸せそうに大きな口を開けまさに食べようとしたその時。


「…あああーーー!!」
「お前うるせェ、ご近所迷惑だろ」


利央のスプーンからシューをひょいと奪い取り一口でそれを収めた準太はもぐもぐと口いっぱいにシューを頬張った。


「何すんの準サン!ひどいよォ!なんで!」


(何でって、お前が…)

シューのカスタードのついた指を舐めながら準太は心の中で悪態をつく。


「返してよォ!準サン!」
「だって!」


利央と同じように大声をあげる準太に、利央は驚いて口を閉じる。


「だってお前が…こんなのとばっか仲良くしてるか、ら…」


言ってるうちに段々と自分のとった行動の幼稚さと発言の恥ずかしさに気付き、準太は赤くなりながらうつむいた。だってこんなの、まるで子供の駄々だ。


「準サン」


最後の方は小声であまり聞き取れなかったが、うつむく準太がかわいくて仕方がない。


「準サン」
「…なに」
「オレにもシュー分けてね」


へ、と疑問の言葉を発する前に利央の舌が準太の口内を舐めあげた。

甘ったるい長いキスが終われば、やっぱり準サンがいちばん甘いね、なんて利央が言うから準太は再び自分から唇を重ねた。












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