ナイキ
パチパチしてやんよ



時計の針は午前0時をさそうとしている。
カーテンの外は真っ暗闇だったけれど私は小さな携帯用電話機を右手でぎゅっと握り締めて口を動かす。
喋り足りないんだもんちょっとはお願い付き合ってよ。


「聞いてる?準太!」

『聞いてるー』

「続きだけど、利央が買出し手伝いについてきたなんて珍しいじゃん?」

『んー』

「で、何かあるのかなって思ったら案の定だよ!」

『んー』

「そこで利央が奢れ奢れってうるさくて!」

『んー』

「挙句の果てに慎吾先輩まで、・・・ってねぇ準太聞いてる?」

『だから聞いてるって』

「・・・」

『・・・』


・・・わたしばっかり、しゃべってるよね(気づくの遅すぎた。やばいどうしよう自己嫌悪)。
同じ部活だけどマネージャーと部員なんて疲労具合違い過ぎるのに、それわかってるはずなのにわたし何やってんの。
部活で疲れてへとへとなはずの準太が電話に付き合ってくれてるのにわたし、さっきから愚痴ばっかり言ってない?


「ご、ごめん!」

『いきなり何?』

「わたしばっかしゃべって・・・準太、疲れてるのに・・・」

『気づくの遅ぇー』

「ご、ごめんっ!ほんとにごめんね!」


これわたしの悪いところだ。わかってる。直さなきゃ。あぁあもう何やってんのほんとに自分死にたい・・・!!


「ご、ごめん。もう切るね」

『あ、ちょっと待てって』

「え、何?」

『お前ばっか喋んなよ、俺もなんか話す』

「え、でも疲れてるんだし、早く寝たほうがいいよ・・・」

『俺が話すってんだからいーの』


わたしが悪いんだからそれを断れるわけなんてなくて、私は思わず息を呑んだ。
何を言われるんだろうか。いい加減にしろとか?もうかけてくんなとか?・・・それくらい言われても多分当然だと思う。本当にごめんね準太でもわたしそんなつもりじゃ、ってそんなの言い訳にしかならないねわかってる。
うん何言われてもわたししょうがないと思うだから何でも受け止めますさぁどんとこい!
時計の針は0時をさしたくらいだろうか。あ、日付変わった今日も一日頑張ろう。ちょうどいいよ準太さぁ今日一日頑張れるように、どうぞわたしに一喝を!



『俺お前のこと好きだから』


「へ?」





真夜中の
ラブコール

〜たかせし〜








『だから他の男の名前出すなよ、・・・ってなぁ聞いてる?』




Thanks!


ナイバッチー!



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