女王陛下と呼ばないで
□これが俺の祝い方
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「そっか。で、退部の件だけど、あれ白紙に戻していいんだろ?」
安心して聞いてみたが、桜は驚くこと言ってきた。
「ん?退部はするよ。だって部活内恋愛禁止でしょ?」
呆れて言葉が出ない。
そんなの律儀に守るなんて…
「僕自身は辞めたくないけど、誠司は部長でしょ。だから自分から規律を乱すのは嫌だと思うんだ」
まぁ、確かに。
誠司はそこらへん五月蝿そうだな。
「でもさ。てっきり誠司は部活の後輩の子が好きなんだと思ってたからびっくりしちゃった」
は?
なんて言ったんだ桜は?
「だってこの前見たら、あんなに幸せそうに頭を撫でてるんだよ?誰だって好きなんだな。って思うよ」
はぁ。
そういうことか、ここ一ヶ月誠司を避けてたのはそういうことなわけね。
でも、俺から言わせてもらえば…
「あのなぁ、桜。お前自分が頭撫でられてる時、誠司を見たことあるか?」
呆れたように言う俺に対して桜はキョトンとしている。
その反応は見たことないってことだよな。
「嬉しくて恥ずかしくて見れなかったってとこか?」
言ってみるとどうやら図星みたいで、今度は耳まで真っ赤にさせる。
「はぁ。だからお前らは四年間も友達止まりだったんだよ」
俺がそう言うけど、桜は全くわからないみたいで首を傾げる。
誠司と二人して鈍感だからな。
「誠司がお前の頭を撫でてる時な」
首を少し傾げたまま俺をジーっと見てくる。
その姿が少し面白くて笑いそうになるけど、我慢しながら続ける。
「とろけそうな顔してるんだぞ。これ以上ないってくらい幸せそうな顔だ。姫を撫でてる時なんてめじゃないぞ?」
遂に堪えきれなくて口の片端をニヤリと上げてしまう。
そうしながら桜を見ると、顔は真っ赤なまま口をぱくぱくと金魚みたいにしてる。
言葉も出ないほど驚いてるのな。
もっとからかってやろうとしたら、
「もうやめろ」
と遮られた。
や〜っと口出したのな。
寝たふりが下手な誠司くん♪
くくくっ♪
もう笑いが止まんねぇな。
誠司の視線が怖いから去るけど、去り際にもう一つ言ってやった。
これで帳消しにしてくれ。
「誠司に頭撫でられてる桜も同じように、これ以上ないくらい幸せそうだったけどな」
ガチャン
と、扉を閉めるが部屋の中からは何も聞こえてこない。
防音のせいではなく、二人して言葉をなくしてるせい。
あんの馬鹿共め。
恥ずかしくてこっちが穴に入りたいわ。
少し後押しが遅かったから悪いとは思ったけど、素直になれない俺は二人に意地悪をして楽しんでた。
心の底から思う
おめでとう
fin
→あとがき
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