女王陛下と呼ばないで

□これが俺の祝い方
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ガチャ

「よ!熱下がった…か……」



え〜…と、どういうことだ?

険悪だったよな。
う〜ん。

俺は呑気に寝ている誠司と桜を見て思わず唸ってしまった。



これはどう見たってこの二人は上手く行ったんだろうなぁ。
という様子。

桜なんて昨日まで誠司から逃げ回ってたんだぜ。


あぁ、俺が昨日誠司をけしかけたからか。
尻に火がついてようやく行動に出たんだな。
このヘタレめ。

そうか、やっとくっついたか。
四年間甘ったるい空気を出しながら、こいつらときたらお互いの気持ちに気付かずにいた。

ありえない。

とりあえずいつも側にいる俺の身にもなれ。


「あれ?慶介?」

薄暗い中、先に目が覚めたのは声からして桜。

手探りで電気をつけてやると 「んぅ〜」 と眩しそうに目を細めながら唸ってる。

俺は免疫あるけど、他の奴の前でやるとやばそうだな。
襲われるぞ?

ま、誠司が許さないか。

「桜来てたのか。学校は?」

「今日は熱があるから休んだんだ」

半身を起こしながら桜が応える。



熱ねぇ〜。

そういうことか。

「なんだ。桜も昨日はずぶ濡れで帰った口か


ま、知らないふり知らないふり。

「え?あぁ、うん」

言いながら頬を赤く染めていく。

わ〜甘ぇ〜。

「誠司もさ。昨日ずぶ濡れで帰ってきたんだよ。雨が降ってきたのに外に出てったからな」

「え?始めから外にいたんじゃないの?」

少し驚いた様子の桜。
素直な反応しやがって。

「なんかさ、昨日誠司と薔薇の話になったら急にすっ飛んで行っちまったんだよ」

急にじゃねぇけどな。
誠司もわかりやすい反応する奴だからな。
あれは確信犯てやつ。

同じことを桜にもする。
誘導をね。

さ、話てもらおうか?
昨日の詳細を。


「薔薇って…」

「あぁ、もう一ヶ月前にかな?誠司が貰ってきたんだよ。ま、流石に枯れてるけどな。あいつったらまだ飾ってるんだぜ」

「え…」

驚く様子の桜。
あの薔薇は十中八九桜があげたものだろうしな。

誠司の女々しい所も暴露してやる。
これ結構おもしろいかもな。


「で、誠司は雨降ってるのに出てったんだよ」

「そうなんだ…」

今度は俯いた。
背は俺の方が高いから表情が読み取りにくい。

「それで熱出して寝込んでるんだから自業自得だよな」

言った途端に桜は顔を上げる。
しかも大きな声をあげる。

「違う!!僕がいけないんだ。僕が襲われたりしなければ誠司は熱を出したりしなかったんだ!!」

言い切った後は息が切れたのか荒くなっている。



成る程な。
俺はそれだけで状況を察した。

どうやら四年前と同じことが起きたそうだな。

襲われて助ける奴まで一緒かよ。
でも助かってよかった。
俺からしたから桜は大事な友達だからな。
ま、親友である誠司の想い人でもあるし。

「だから誠司は悪くないんだ」




それにしても許せない奴らだな…。
懲らしめてやる。

久しぶりに生き地獄見せてやるかぁ。
と呑気に考えていたら、桜が恥ずかしそうに、

「あと、そこで誠司に好きって言われて…」

と、更に顔を真っ赤にして言う桜。

あぁ、やっとか。
遅いっつの。



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