女王陛下と呼ばないで

□女王陛下と呼ばないで
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僕は来宮 桜(キノミヤ サクラ)。

王地(オウジ)学園高等部の二年生。


陸上部に所属している。
でも王学(王地学園)は部活動に力を入れているので、僕なんかみたいな非力な者は主戦力にはとてもなれない。

だから陸上部ではマネージャーをしている。



と言っても、去年から理事長付き役員を任されたから部活にもあまり顔を出せていない。



今日は、こうしてグランドに向かっているけど…




実は一年生が入学してから初めて顔を見せる。


もう二ヶ月は経つのにな。


もうほとんど幽霊部員状態。

そんな僕にでも陸上部員達は優しい。
まぁ、先輩はいないし、同級生は良い人達ばかりだから僕も受け入れられているんだろう。


「あ、女王陛下だぁ♪」

「ほんとだ。カワイイ〜」

「カワイイより綺麗。の方が似合ってるって!」

『憧れるよね〜』




かわいらしい声が聞こえる。

もっとも喋ってるのはみな男子。
四年も王学に居れば流石に慣れるね。


陸上部専用グランドに近づくにつれて人が多くなる。
主に男子が。


なんなんだろう?
前まではこんなじゃなかったと思うけど…



「あ、女王陛下だぜ!!」

「姫も良いけど、俺はやっぱり女王陛下派だな♪」

「あの冷めた眼差しがまたいいよな」

『女王陛下万歳☆』

「鳴かしてぇ〜」

「バカっ!!下手なこと言うなよ。騎士様が出てきたらどうするんだよ!!」



あぁ、未だにこういう人達が絶えない。

いい加減諦めてくれたらいいのに…



僕は内心ため息をつきながら陸上部専用グランドのフェンスの扉を開ける。



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