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□瞬過終逃
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真っ暗だ。月が見える。大きな満月。
それなのに、まだ5時の鐘が鳴ったばかりだなんて。まるで本や映画の世界に入ってしまったような不思議な気分になった幼い頃の自分が取った行動は、今思い返してみてもよくわからない。
「ヒカリ、手つなごう」
「いいよ」
小さい頃は何だってできた。白い息を吐き出しながら、手を繋いで土手に座って。
ただ月を見ていた。
「雪、降るといいね」
「降ったらかまくらを作ろう」
結局かまくらは、作れないままだったけれど。
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