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□その時確かに苦かった
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「…っつ…!」












肩に走る痛み―。












Yシャツをどかされてはだけるている肩に赤也が噛みついていた。












「―…おぃ…お前何して…。」











――っ―――












胸に走る、鈍い痛み―。












「ゴボッ…。」












吐血。












俺は、












赤也のカッターナイフにより、刺されていた。












「ぁ…か…。」












怖い。


逃げねぇと―。


逃げねぇと、












殺される。












俺は逃げようと思ったけど、恐怖で体が動かなかった。












胸から、血が溢れてくる。












ガタガタ。

恐怖で歯が軋む。






「あかっ…」


次の言葉を言おうとした時には、もう












ズシャッ












赤い血が周りの物を汚した。












ペロリ

ピチャピチャ



赤也が俺の胸元に顔を寄せて血を舐める。



















「…苦い。」














その時の俺の頬についた水滴は一体誰のだったんだろう。

















その時確かに苦かった

(次の日、部室には変わり果てた二人が重なりあってに倒れていた。)
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