.

□love.story
1ページ/2ページ











―love.story―










県の大会で立海大付属中は優勝した。

嬉しかった。

俺らは強いと自信をより強くもてた。


ただ気に入らないところがあった。

――生意気な後輩。

俺は自分がその存在により熱くなっている事に気付いていて、

その事に妙に腹が立っていた。










次の日の朝、俺達は表彰された。

朝会が終わり、教室へ戻ろうと廊下を歩いてる時、

「ブン太せんぱーい。」

「あ?んだよ切原。」


変な髪型しやがって、そのニヤついた顔。

全てにおいて俺を刺激する。――切原赤也―。


――ムカつく。

朝から何でこいつ話さなきゃならねえんだよ。

「あの、これ、昨日コンビニで偶然見つけたんスよ。」

「え?」

俺は目を合わせようとしなかったが、ガサガサとする袋の音に反応し、目線をそちらへ向けた。


「じゃーん!新作のお菓子〜!」

「あー!!それ!俺も昨日見つけたんだけど金使いきっちゃって買えなかったんだよ!」

「どーぞ。」


切原は俺の手のひらを差し出し、その上にお菓子を置いた。

「え?何?」

「それ、俺食べないんで先輩にあげます。」

「マジ!?いいの?よっしゃー!!」


切原はそんな俺の姿を見てクスッと笑い、そろそろ授業が始まるので。と、その場を立ち去った。


俺はその時、ただただ嬉しかった。










放課後、職員室に呼び出された。

面倒だが、行かなかったらもっと面倒な事になるから、仕方なく嫌々行った。

(まーた髪の事言われんだろーなー。)


しぶしぶと向かっていると、その先に、切原がいた。


ドキっと、心臓が高鳴った。


俺は逆走した。





(今のって…ブン太先輩だよな…。)

「ねえ、切原くん、日直の仕事終わりでいいよね。」

「、あっ!ああ。じゃ、また明日。」


(先輩…?)










「はぁっ…はぁ…」

俺は気付いたら2年の教室の中にいた。



「なんで…。」


切原が同学年の女の子と一緒にいた。

なんか、それを見たら、見てらんなくなって、気まずくなって、逆走してしまった。


「意味分かんねえ…。」



「ブン太先輩?」

「!!」


はっと、声のする教室の扉の方を向けば、そこには切原が立っていた。


「…どうしたんスか?」

「あっ…あー、えーと、だなあ…。」


そっか、ここ、切原のクラスか…。

「……。」

「?切原」

「先輩、俺…先輩の事が好きです。」


「………は?……」

「なんか俺、先輩から嫌われてるみたいだし…言うの迷ってたけど、あんな行動とられちゃ我慢できません!!」

「おっ…おい!お前、勝手に話進めんなよ!!」

「すいません…。あの、先輩…」


「わっ…悪ぃ!俺もう部活いかねえと!!」

「あっ…先輩!!」

「お前も早く部活来いよーー!」


俺は逃げるようにその場から立ち去った。


(なんだ今の…なんだ今の…)

切原が、近づいてきて。

もう動揺隠しきれなくて、

どうしようもなくて、

逃げちゃった……。


バンッ

部室に飛び込み、ロッカーに正面向きで身を任せた。


(意味分かんねえ…)










一番嫌いな奴だったのに、

苛々イライラムカついてたのに。





なんで俺はあいつの事ばかり考えているのだろう。


開けっぱなしのバックから見える切原からもらったお菓子を見てなんだか泣きそうになった。










                〜end〜
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ