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□一生尽くして。
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―一生尽くして。―










ついにきた。

一年に一度のマジで最強最大級のイベントが。

「あーかや!」

そう…

今日は、ブン太先輩の誕生日。


朝っぱらから目をキラキラさせてる先輩は、多分…いや、絶対。


プレゼントを期待している。



それがさ…

俺の懐3円。


先輩へのプレゼントは、

一応買うには買った。けど、


恥ずかしくて渡せるわけがない。


なんでしょうね。あん時の俺は頭のネジが緩んでたんでしょうね。

だってさ、あんなモン買うなんてさ、

どうなってんだよ過去の俺!!


「あーかやクン。何か俺に渡す物ないのかな〜?」

後ろから先輩が俺の首に腕を回してくる。

「えっ…え〜?なんの事ですか〜。」


俺は先輩と目を合わせないようにそっぽを向く。

「とぼけやがって。分ってんだろ?」


うわ。やべ。俺ピーンチ。


「あー…!確か今日、グラウンド100周しろって言われましたよね!」

「……それはそだけどよ。」


キーンコーンカーンコーン

(助かった!)

「おっと!チャイム鳴っちまった!では、俺教室に戻らねえと!」


「おっ…おい!赤也!」


タッタッタッタッタ


「…行っちまった…。」


あいつ、本気で忘れてんのか?










―昼休み―










「頼むっ!!金貸してくれっ!」


俺はいる限りの友達に頼んでいた。


「無理だってー!てか何で急ぎで金必要な訳?」


「それは…」

それは

「恋人に誕生日プレゼント買わないといけないんだ。」


先輩に――










キーンコーンカーンコーン


(結局収入0で部活を迎えてしまった…。)


あーあ…

部室のドア開けたくねー…。


行くしかねえ…
「どーした少年。」

「うわっ!!」

ポンッと肩に手を乗せられ、後ろから仁王先輩の声。


「仁王先輩かよ!ったく…驚かせないで下さいよー!!」


「何か考えてるみたいじゃな。どうした。」



「……俺、先輩に誕生日プレゼント買ったんスけど…なんつーか、照れくさくて渡せなくて…じゃあテキトーに安い菓子でも買うっていっても金がなくて…。」

「ふーん。」

「って、なんですか!その下らなって態度はっ!!」

「いやいや、すまんのぉ。」


「…どうすればいいスか?」


「渡せ。」

「え。」

「考えても無駄じゃ。当たって砕けて来い。」


「はあ〜!?俺砕けたくないッス!!」


「いーから行きんしゃい!」

そう言いながら仁王先輩は部室のドアを開け俺を押した。

「うわっ!!」











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