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□サボテン
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―サボテン―










初夏の風が吹いてくる今日この頃。


赤也と散歩と言う名のデート。

繁華街へ出て適当に欲しい物買ったり、カフェで休憩したり。


今はぷらぷら歩いてるだけ。

ふと店に目を向けると、そこはサボテン店だった。


花が咲いていて、とてもきれいで、


俺は立ち止まった。


「?先輩、どうしたんスか?」

赤也も立ち止まる。

「―いや、サボテン。」

「ああ。きれいですね。」

赤也はガラス越しのサボテンを指さす。

「これ。」

「ん?」

「このサボテン、先輩みたい。」

「は?」


―それは、大きく赤い花が咲いて、トゲがたくさんあるサボテンだった。


「…つ・ま・り、俺はトゲだらけの男って事かよ!」

赤也の襟元をグッと掴み上げる。

「ちょっ…ちがっ…いや、まあそうですけど…」

「あっ!?」

赤也の事をもっと上げる。

「とっ…とりあえず放してくださいー!!」










―10分後―










「だから、あのですね、」

「おう。」

「先輩は、きれいです。」

「はあ!?」

赤也のストレートな言葉に、顔が熱くなってくるのが分かった。

「でもトゲみたいに俺を傷つける事もあって、」

「わるかったな!」

「でもサボテンみたいに優しいんです。」

「…。」


で、こいつは結局何を言いたいんだ。


「つまり、俺は先輩の事が好きなんですよ。」


「………は……?」


意味分んねぇー!


「…俺、何言いたいのか分からなくなってきました。」

「バーカ。」





ほんっと、よく分からねえけど、なんだか俺の気分は最高に良かったから、





「サボテン一輪下さい。」





紅バラ丸を、大切に、持って。





「俺がサボテンなら、お前は俺の根っこだな。」



帰るべき所へ、二人で。


俺と赤也で―。










サボテンの花言葉は、「秘めた熱意」「枯れない愛」「燃える心」「情熱」「偉大」「あたたかい心」










                〜end〜
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