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□感情を表に出して貴方は泣いた。
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感情を表に出して貴方は泣いた。









――1限目、俺と丸井先輩はサボりで屋上にいた。


冬の寒さが、肌に染みた。


フェンスに背をあずけ、特に何を話すでもなく、携帯をいじっていた。



「赤也。」


先輩が携帯をいじったまま、話かけてきた。


「んー?何。」


俺も、携帯をいじりながら返事をする。


「人間って、馬鹿だよなぁ。」


「はっ?」


いきなり何を言い出すんだ。この人は。


驚いて顔を向ければ、相変わらず携帯と向き合いながら、薄く笑んでいた。



「くだらない事を隠したりさ、小さな事で泣いたりさ、自分は可哀想って悲劇のヒロインぶってさ。」


はぁ?はぁ?はぁ?


「もっと楽に生きれねーのかよー!!」


先輩は、フェンスと向き合って、空に向かってそう叫んだ。


「人間のバカー!
 自分のバカー!」



何を伝えたいんだ。この人は。



「もっと素直になれよぉ。」



気付けば、叫んでたその人の頬に、俺の頬に、熱いものが伝ってた。


なんでこんな事に泣いてんだよ。とか思ったけど、


くだらないで済ませれる訳じゃないし、

なんだかよく分かんねーけど、すごいと思ったし、

どんな理由であろうが、涙が止まらなかった。









先輩の携帯の画面は、自殺サイトだった。









            〜end〜
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