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□前奏曲
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―prelude―









音楽室。ピアノの音に誘われて来てみれば―










ガチャッ









「―…。」


音楽室に入れば、より大きい音が室内に響いている。

穏やかな音。


丸井先輩…。ってかこの人ピアノ弾けんだ。













なめらかで、










異様なテンポ。









静かな曲。







先輩とは似ても似つかない。






しばらく、扉の前に立って音へと耳を向けた。









丸井先輩の表情…すっげぇ豊か。

真剣だし。






んな事思ってる内に、高い音と共に曲が終了した。










しばらくの、沈黙。









「さーてと、部活行くかな。」






ガタッ





丸井先輩がピアノに布を掛け、ゆっくりと閉じた。

そして、こっちを向く。








「―っうわっ!赤也。いたのかよ。」






「は?あんた気付いてなかったの!?ずっといたんスけど!!」








「マジかよ…。」







片手で前髪を掻き上げて、表情を雲らせる。何?俺いちゃ悪い訳?






「何だよ。その態度。」









ムカつく!











「いや…何か恥ずかしいとこ見せちまったな。」










はっ?










「何で。今のどこが恥ずかしいの?」








予想外の返答に、俺はきょとんとする。









「だってさ、俺のあんなバカ真面目な姿…笑えるだろ?」








丸井先輩はそう言いながら、苦笑い。











「全然。」











「えっ…?」






「つーか…逆に嬉しいっス。」



「はぁ?何で。」








丸井先輩に、近づく。











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