.

□悲しみも温もりも流して
1ページ/2ページ









ザー












―rain―












「先輩…今何て言った?」






ザーザー、真っ暗な帰り道。
俺と丸井先輩。ねぇ、先輩。今、なんつった?








「もう、終わりにしねぇ?」





ザー






「なん、で。」







乾いた声が出た。






オイオイ冗談…だろ?








「何でも。もう…面倒だし…」





ザー






暗くて、雨が、傘が邪魔をして、丸井先輩の顔を見せない。






嘘…だろ。


(考えたくない)


んな訳ねーだろ。


(現実を見たくない)







「…ごめん。」


「……何で…


   何で謝んだよっ!!」






俺は怒鳴るように声を張り上げた。



先輩は一瞬ビクッと肩を震わせた。

顔は見えないまま。


ズカズカと先輩へ近づいて傘を上げた。



「!!」





先輩は泣いていた。


「……。」



どうして。


どうして泣いてんの。


「赤也…。」


先輩は涙を抑えるように顔に力を入れ、歯を食いしばって俺の事を見る。





「先輩っ!!」


走った。先輩は傘を投げ、雨の中走った。


俺は追いかける事もできなかった。










―もう、終わりなんだな。









そう感じてしまった。


今思えば、先輩と笑い合えてたあの頃の事を後悔した。



(もっともっと、笑い合えば良かった。)と。










今頃もう遅いけれど。










               〜end〜
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ